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lost/bombs
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lost/bombs 80

「計画の初期で≪虎≫と≪辰≫、そして騎士団長の幾人かは殺すつもりだった。どこかおかしい所があるかしら?」
「殺すにしても≪消去≫するにしても世界が歪むような強引な結果をするべきじゃなかったね。あれで騎士団の方にもばれた」
「ふん」
猫目の少女と絶対武装の美人の視線が交叉する。猫のように瞳孔が細い琥珀色の瞳と銃の補助サイトのような十字が刻まれた鮮血色の瞳が衝突する。
「それで? 私が気に食わないと殺しに来たの?」
「いいや。僕らは同志だ。同志を殺すことなどしない」
「同志? あはははっ、お互い利用してるだけでしょう?」
猫の少女は素敵な冗句を聞いたとばかりに嘲笑を浮かべる。
それに対して永劫の武人は優しく微笑んだ。
「だからこそ同志だろ。友人でも恋人でも仲間でもない。己の意志の元に利用し利用されながらも進む同じ志だ」
「・・・・・恥かしいやつ。武王ってのはそんな恥かしいことを堂々といえるのね」
「猫は昔からツンデレというからね」
二人の会話が穏やかに終わり、二つの双眸、四つの瞳が向こうを見つめる。
上空三千メートルと言う大高度、人間の生存を許されない世界で海原のように広がる雲海の中を優雅に、そして大迫力で泳ぐ巨大すぎる蛇体。あれが僅か尻尾の先だと誰がわかるだろう。虎仙のような鍛えられ修練された技ではなく生まれつき持つ身体能力のみで最強を誇る≪辰≫の獣王形態である。
≪辰≫の燐光を纏いし真摯なる双眸が二人を捉え、そして禍々しい牙をそろえた口腔が律儀なる言葉を紡ぐ。
「猫と武王か。妾に何のようだ?」
「大した用事ではないよ」
永劫の銀髪が大きく広がる。まるで銀海のように広がり、それぞれが複雑な武器となる。猫は苦笑を浮かべながら指先に二千度にもなる光球を生み出す。
「そう。貴方に死んでもらいたいだけ」
「物騒な話だな。妾は別段お前たち≪宵≫に喧嘩を売ったことはないがのぅ」
「これは私達が売る喧嘩」
「存分に買って貰うよ。最初最後の閉店セールなんだから」
二人の敵意に≪辰≫は身じろぎし、瞳に戦意を宿す。
「お前たちの閉店セールというのならいいが、そうではないらしいな」
「この世界の閉店セール。最後のお祭り騒ぎ」
永劫の唇は破滅を囁く。終ることがないことを定められた彼らが紡ぎ出す終焉の日。幾多の物語が紡いできた世界最後の日のための序曲。
「・・・・お前のことはどうでもいいと思っていた。だが世界を滅ぼそうという気狂いならばしょうがあるまい。我が全身全霊をかけて一人は食い殺す」

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