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lost/bombs
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lost/bombs 77

「僕様は君と斬り合いも殺し合いもするつもりはないんだけどな」
手元から、いや正確には掌から極小の長刀を伸ばす青髪の少年は溜息をつくが、それでも二人の間には桁外れの速度で打ち込まれ続ける剣と剣が生み出す火花の乱舞が踊る。
「ぬかせ・・・・武王・・・・貴様があの赤犬とつるんでいることなど既に先刻承知だ」
「つるんでなどは無いよ。利害の一致なだけさ」
獣王を作る為に作られたファクトリーとはコンセプトが違う。
アームズが作り出した武王プロトタイプ:刹那。
人と獣を融合させて更なる存在を作り出すように、武器と人を融合させ新たなる存在に昇華させる計画。刹那の左の掌が裂け、銃身が現れる。
音すらも置き去する速度の剣に銃撃など無意味と、思った男の予想を裏返すように銃身から放たれた銃弾は男の超反射神経に気付かせず、太腿を打ち抜いた。
「ぐあああっ!?」
「痛いしすごいだろ。巳の銃弾を模写した輪廻弾だ。コストがかかるから、そう多くは使えないけど」
刹那の背中から裂け、禍々しい白銀の翼が映えた。それぞれが無数の銃器、兵器の集合体だと気付いた男は唇を噛み締め、背中の双刀を握りなおす。
「変化」
「へぇ〜、自分の意志で獣王化できるなんて虎仙ぐらいだと思ってたよ」
ミシミシと長身の男の体が軋みながら増大する。纏っていたスーツを引き裂き純白の毛皮が伸びる。
背中に背負った刃が埋まるように男の身体に沈みこみ、そして変わりに頭から悪魔のような捻じ曲がった角が伸びる。男は四肢を地面に突き立て、そして吼えた。
「!!!!!!!!!!!!!!」
「うるさいな」
刹那が両耳を押さえてる中で変化を完了した男の姿は人ではなく巨大な羊だった。

「あ、ごめん。食べさせるティッシュペーパーは・・・・」
持ってない、と言いかけた刹那が吹き飛ばされる。先ほどの斬撃は見えなかった。しかし今度の斬撃は見えないどころじゃない。気付けない。そしてヤギは何事も無かったかのように微動たりも動いてなかった。吹き飛ばされ、地面に叩きつけられ、更にそこへ無数の斬撃が降り注ぐ。
弾けたのは轟音ではなく無数の金属音。刹那の両翼が無数の刃となって降り注ぐ無数の剣戟を弾き飛ばす。刹那は立ち上がりながら自らの蒼髪―銀が混じった髪を掻き揚げヤギを見る。

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