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lost/bombs
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lost/bombs 75

「はぁ」
地面をガリガリと削りながら迫る凍気を雄太は一瞥した跡、右足を強化して地面を踏み割る。深々と靴が地面に埋まり、亀裂が走る。そして砕け散ったアスファルトの破片が凍気を吹き飛ばした。
「いや、本気で、もう戦う気はないんだが・・・・・」
「こ、この自己中がッ! KY!」
「ケーワイ? 携帯の亜種か、何か?」
「空気読めてない」
朧は二十近くの氷の剣を生成し、地面に突き立てる。轟々と彼女の銀髪が荒れるぐらいの荒々しい風が巻き起こり、少女は狼の貌を覗かせる。
「もう知ったことか。これは私のリベンジだ。復讐戦だ」
吹き荒れる風は星屑を纏い、まるで銀の星空のように辺りを輝かせる。地面に突き刺さった氷剣も空に浮かび、まるで夜空を切り裂く流星のような世界を作り出す。
「凍る銀世界!」
「すごいな」
そこに含まれてる圧倒的な凍気。余波だけで地面を辺りを凍りつかせていく。黄泉も驚いた。
「へぇ・・・これは法則改竄でなく擬似世界創造の位置まで来てますね。十二の隊長でもここまでの力を持ってる者はいないのに」
黄泉の感嘆の独言は誰も聞き取れなかった。雄太は残った左手で頬を掻きながら尋ねた。
「殺し合いは無意味だと思うが」
「お前が言うなッ!!」
朧の罵倒と共に巨大な銀世界が瀑布――いや雪崩のように全員を飲み込みながら吹き飛ばす。



「―――」
炎が鎮火していく戦場で骸は呼吸も吐血交じりの吐息しかできないぐらい疲労困憊で地面に倒れていた。倒れているのは骸だけじゃない。光橋は僅かな呼吸音しかしないほど倒れていた。
何故か。
それは闘争の結果でもあるのだが一番の理由は―――
「なんか見知らない、いや見知った男が倒れてるぞ」
「知るかッ!私と闘え、屑人鬼!!」
突然、横から叩き込まれた凍気の奔流だった。凍りついた地面を走る愚考はせず、二人が建物の側面を蹴りながら何度も空中で激突を繰り返す。

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