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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 74

「やめだ、やめ。降参」
「は?」
唐突の降参宣言に朧は呆気に取られる。肩口から切り落とされた右腕の切断面の血液の凝固作用を強化して塞ぐ。激痛は神経系を強化することで無視して雄太は頷く。
「獲物は選ばないとな」
「?」
「誰かれかまって殺しても強くはなれそうにないし」
「はぁ?」
「自己正義って必須だな。うんうん」
朧は首を未だに首を傾げる中、雄太は頷いたあと根国へ尋ねる。
「そういや助けに行くんだろ。早く行こう」
「え?ええ、ですけど、いいんですか?」
根国は突然のことにいまいち眉を潜めるが雄太は頷く。右腕が奪われたというのに余りにも呆気ない。しかし雄太は右腕を抑えて笑う。
「これは代償みたいなもの。気にしなくて良い。まぁ髪ぐらいに済ませようと思ったのに腕を奪われたは誤算だったけど」
「ちょっと待てぇ―――っ!」
「ん?」
雄太が振り向くと同時に氷の星屑が風を切り裂く。頭を抉ろうとする一撃をバックステップで交わし、交差するように朧の顔面へと前蹴りを放つ。彼女はカウンターとなった蹴りを辛うじて腕で防禦するが、そこに含まれてる破壊力にそのまま吹き飛ばされた。
それでも空中で回転して見事に着地する朧を見て雄太は口笛を吹く。
「さすが」
「お前、独りよがりもいい加減にしろよ。いきなり戦いを申し込んできたかと思えばいきなり辞めるのか。どこまで私を侮辱する気だ?」
「いや、そういうつもりはないが」
「そういう所が侮辱していると言うのだッ!!」
朧の周囲を覆っていた雪屑が波動となって雄太に襲いかかる。
それを軽いステップで躱す。奔流は密度を上げないと破壊力は増さない。そしてその軌道は朧の周囲に限られる。既に今までの闘争の間に範囲は見切っていた。
朧が銀風となると雄太も黒風となって離れる。
「クソッ、凍る爪痕!!」
朧がかがみこむように地面に爪を立て、そして跳ね上げる。地面に穿たれた傷痕から五つの氷の魔風が迫る。

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