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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 72

炎を衣のように纏いながら骸は駆け抜ける。
炎の衣は防禦用じゃない。骸を二人の視界から隠す為にある。炎産霊を使う為には視界が必要だったが仕えないのならせめて煙幕ように隠すのみだ。相手を探るだけなら人狼の嗅覚がある。
しかし、それは相手も同じ。
進化した身体の性能を存分に使って相手を探り、衝撃波や刃物の弾を飛ばしてくる。肉がちぎれ、全身のいたる所から血を零しながらも骸は異能の嵐を強引に突破、光橋へと迫る。口からナイフを零し、空中で蹴る。ナイフは空中で摩擦熱を纏い、交わした三橋の地面に突き刺さり、爆炎を噴き上げる。骸は瞬時に炎を操作、五つの火鴉を光橋へ、巨大な火蛇を血兎へと放つ。
それでも片目だと炎の構成が甘い。
五つの火鴉のうち二羽が途中で霧散、十メートル以上の大蛇を作るが五メートル程度になってしまう。骸は舌打ちしながら二人へと撃ち込み、炎が二人を包み込むが、すぐさま突破してくる。
「チっ・・・・・・」



その頃、黄泉は溜息をついていた。
「はぁ、・・・・まさか、こういう状況になるとは」
彼女の前を強化した脚力で雄太は駆け抜け、豪拳を横殴りに叩きつける。
誰に?
物語の数少ない既存登場人物の―――弧月朧に。
進化した強化の拳を彼女は氷の盾で受け止める。すぐさま氷は砕けるが威力は既に無く、朧は流れるように蹴りを雄介の首筋へと打ち込み、腕で防がれる。
すぐさま弾けるように飛び去る二人だが、その瞬間に放たれる≪凍る雨≫の氷の散弾を雄太は体温によって高熱化した紅い腕で気化させる。朧は銀髪をなびかせながら不思議そうに尋ねた。
「どうした? 弱いぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
雄太は無言で地を駆ける。その速度は朧と対峙した頃より数段早い。しかし放たれた豪拳を朧は容易に交わし、流れるように肘を雄太の胸に叩きつける。胸を打たれたことで息を詰める雄太の腹に凍気の奔流をぶち込みながら朧は溜息をついた。

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