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lost/bombs
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lost/bombs 8

「お前は死んどけ」
「なッ!? ちょっと待っ・・・・・」
女性が何を言う前に雄太の呼吸が止まる。
爆発的ともいえる踏み込み―震脚―と共にその圧力を受け取りながら右腕が膨れ上がる。
掌から放たれたのは5トンにもなろうかという強烈な衝撃。内臓が一瞬で圧潰され、全身に走る血管が弾け鮮血が弾ける。
人間の体内で巨大な爆発が引き起こったようなものだ。
女性が崩れ落ちる。その虚ろな眼を見れば間違いなく即死だが、とりあえずその細首の頚骨を踏み割るのも忘れない。
「あーったく殆どバラバラにしやがって」
雄太は溜息を漏らしながら部屋を見回す。鋼糸と傀儡の乱舞によって部屋は無惨にも破壊されていた。
とりあえずどうしようか、と思っていた途中で扉がノックされる。
そして雄太が何かを言う前に入ってきたのはヒゲを生やした初老の老人だった。
「おうおう、これはどうしたことだ? また何かやらかしたのか?」
「ああ、なんか知らないが狙われた」
老人の質問に雄太は地面に横たわる女性の屍を指差し、老人は瞼に殆ど隠れた瞳を細める。
「傀儡じゃな」
「あー、やっぱそうか。なんか触れた時の血脈の動きとかがおかしかったんだよな」
ボリボリと頬を掻きながら雄太は呟く。
「面倒クサ」
「お前、相変わらず人を殺しておるようじゃのぅ」
老人は屍を見て溜息を漏らし、雄太もまた頷く。
「だってそれ以外の存在理由(アイデンティティ)がないし、大体、人を殺すなって難しいじゃないか」
「いやいや、難しくなどないぞ。むしろ、お前のように人を殺しまくって警察に捕まらないほうが難しい」
「そうか?」
雄太は適当に挨拶しながら自分で殺した女性の衣服に手を伸ばし色々探っていく。
「ネクロフィリア(死姦趣味)か?」
「さすがにそこまでは・・・・お、あった」
雄太が見つけたのは財布。灰色の高級皮を使ったサイフの中に万札が何枚か。それを何の罪悪感もなく懐に収める雄太に老人は思わず溜息を漏らす。
「犯罪だぞ」
「別に。迷惑料だ」
どこかのチンピラのようなことを呟き雄太はそのままドアではなく窓へと近づく。大きな窓は人一人ぐらい入れそうなぐらいに巨大で雄太は軽く掌底でぶち割る。
そして外へと出ると鼻を鳴らして嗅覚を強化。風から流れる匂いを頼りに強化した視界で辺りを見回す。

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