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lost/bombs
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lost/bombs 7

「面倒クサ」
ポツリと呟きながら内臓を漏らしている上半身へと近づく。決して生きている筈が無い致命傷。間違いなく即死だ。なのに上半身となった女性は不気味に笑う。
「驚かないんですね」
「普通、人形繰りみたいな戦闘型が目の前に出ないだろ」
「なるほど。それもですが、この顔も見ても」
「ああ、他人だからな」
淡々と呟きながらナイフを持ち上げ、その女性の眼球へと切っ先を向ける。
「それより何故、俺に襲撃をかけた?理由を言え」
「解体するんですか? 知り合いの人の身体ですよ」
「それがどうした?」
「・・・・クク、やはり貴方は面白い人だ」
笑い声を上げる度に口からは血を吐いているが人形繰りの人形は笑い声を上げ続ける。
雄太はそれを見てナイフを眼球へと振り下ろした。切っ先が眼球を抉り、更に頭蓋骨の眼穴を削りながら深々と根元まで突き刺さる。
「笑うのは勝手だが、俺の質問に答えてからにしてくれ」
「言う前に刺したのに?」
「今度時間をかけたら、その頭、縦に割るぞ」
ナイフに込められた力は本気だと教えている。人形繰りは眼球をナイフで串刺しにされながら微笑で答えた。
「貴方はその力勿体無いと思いませんか。ただ意味も無く、ただ流れるままに殺人を繰り返すのみ。もっと面白いことに使いたいと思いませんか?」
「?」
雄太は訝しげに眉を潜めると共に、その身体が瞬時に跳躍し、今までいた地点を無数の銀糸が走り抜ける。
着地すると同時に銀糸の射出点に向ってナイフを投げるが、それは銀糸の網に弾かれる。
そこにいたのは眼鏡をかけた昨晩見たはずの女性だった。
「人形か?」
「いえ、本体ですよ。そっちが本体を偽造した人形です」
眼鏡をかけた女性が指を鳴らすと同時に左目を失った女性はまるで糸のように解け、無数の部品となって崩れ落ちる。
雄太はナイフを失った両手で構えると共に、女性は説明し出した。
「我々、『エリ、エリ、レマ、サバクタニ(神よ神よ、何故、我等を見捨てたもう)』は貴方のような特異進化者の保護と活躍する場を与える結社です。どうです。我等の仲間になって楽しく生きませんか?」
雄太は僅かに眉を潜めながら強化した右腕で側にあった巨大な腕の一番でかい残骸を掴む。掴むと言っても指先で貫き、持ち上げると行った具合だが。
「胡散臭い」
そして投擲。巨大な残骸が剛速球となって眼鏡をかけた女性へと叩き込まれる。銀糸が微細に粉砕するが、その瞬間を狙って雄太は滑り込むように女性の間合、すなわち懐へと潜り込み、その掌を腹部に立てる。
まるで触診しているような格好だが、女性の顔が一気に青褪めた。

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