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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 70

その中を駆ける骸。全身から零れる血が霧のように走った後に残り、それを追随するように衝撃波の槍が迫る。
血兎の能力も戦闘の間で進化していた。既に衝撃波は純粋な空気の波じゃない。凝縮した空気内で引き起こされる無数の反響(ハウリング)によって分子結合を破壊する無敵の槍だ。幸いなことに一発一発が強力である為、回避することを可能だが、その間に放たれる通常の衝撃波の弾丸を躱せない。
躱せない為に炎産霊で打ち落とすしかない。
視線を収束させて炎によって衝撃波の弾丸を食らう。
パッパッと火花が散るように衝撃波が消える。同時に地面に伸びる影から金属の槍が延び、右太腿を貫いた。
「ずぁぁつ、痛ええっ!」
右足が激痛に痺れる。柄を灼熱の炎で溶かし激痛を無視して刃がある方から引き抜く。解けた金属が傷口を通った瞬間、悲鳴が漏れた。傷口を押さえて立ち上がる。その時、上空から光橋が太古剣を振りかぶって落ちてくる。同時に地面に浮かぶ陰から無数の刀身の切っ先が覗く。上下からの同時攻撃。
炎産霊では同時攻撃は防げない。存在する炎を操ろうとしても武器を破壊する程の高熱は不可能だし、大体、三橋が持つ太古剣は世界創造の亜種≪世界固定≫を使って破壊を防ぐ。逃げようとしても右太腿を貫いた傷ではすぐに動けない。
考えた手段は無謀だった。しかしそれ以外にない。炎産霊で数センチ前のところに炎を作り出し、それを爆発させる。その勢いを持って脱出する。
高熱の爆発にコートが黒焦げになり、皮膚が爛れ、骨がジリジリと解けた。顔を防ぐ為に交叉させた両腕の肌が炭化し、ボロボロ剥がれ中の筋肉が覗く。
吹き飛ばされ無様に地面に倒れ、それでも転がりながら放たれる分解の槍を回避するぐらいは出来た。爆発の炎を操作して血兎へと襲い掛からせるが再び地面を抉りながらの衝撃波によって消し飛ばされる。純粋な空気だけの衝撃波なら炎の爆発力に任せて突破できるが土砂を巻き込んだ衝撃波は無理だ。立ち上がろうとして両腕の感覚がないことにゾッとした。
「両腕の感覚がないんでしょ」
炎の中から光橋が太古剣を構えながら歩いてくる。炎に照らされて生み出された多くの影から無数の武器の刃が覗く。

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