PiPi's World 投稿小説

lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

の最初へ
 67
 69
の最後へ

lost/bombs 69

「道なんか残らない」
淡々と呟く雄太の顔には虚ろだった。殺人はしたくないと言っていたのに、この表情。さてどちらが本質なのだろうかと黄泉が疑うが、そんなものがすぐさま分かるわけが無い。携帯に表示される地図を見ると、ここから結構近い。僅かな躊躇はあったが一応言ってみる。少なくとも手数は多いほうがいいだろうという簡単な判断だった。
「それでは、ついて来てください」



轟々と炎が渦巻き、その中を震動の弾丸と無数の短刀の掃射が走る。骸は傷ついた体で辛うじてその攻撃をかわし、自ら生み出した炎によって炙られる。鋭い痛みが走るが操作するまでもない小さな炎ゆえに無視して距離を取る。
ゲームのように自分で作り出した炎で傷つかないなんてご都合主義の力じゃない。能力には法則があり、それは自らにも及ぶ。
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・・マジでやばくなってきたな」
既に幾度と無く刀身は身体を貫き、衝撃の散弾は臓腑を抉っている。口元を抑えた手は血反吐に塗れて、それでも人狼の生命が辛うじて堪えている。それは相手も同じだった。
漆黒の鎧の半分を融解させ、兜を脱ぎ去った光橋の顔は半分が紫色に青褪め深い五つの痕によって抉られていた。隣にいる血兎も同じようなものだ。アバラ骨はへし折れ右足を焼かれている。それでも三人は躊躇無く対決していた。
骸は喉に詰まった血をはき捨てる。
先ほど叩き込まれた衝撃波のせいでドス黒い肉片が一緒に飛び散るが構わない。皹の入ったサングラスを整え、ニッと笑う。
「楽しいなぁ、おい」
炎が凝縮し、巨大な二つの火球を作り出す。その火球が横縦に広がり巨大な十字架へ変わり放つ!大地を削りながら迫る灼熱の十字架に血兎は土砂を巻き上げながらの衝撃波と空気泡を作り出し、光橋は空気泡を蹴ることで更に上空へと跳ぶ。
土砂と炎の十字架が激突し爆発する。土煙が上がる中を上空から巨大な太古剣を振り下ろす光橋の顔には笑み浮かぶ。
「ええっ!楽しいですよッ!」
ファクトリーで生まれた存在には自己成長を強制する因子が生み込まれてる。生まれた時から強敵と殺し合い、自分の糧にするように作られてる。だからこそ彼らは強敵と戦うことを至上の歓喜となる。太古剣が地面に突き刺さり、轟音と共に大地に亀裂が走る。

SNSでこの小説を紹介

アクションの他のリレー小説

こちらから小説を探す