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lost/bombs
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lost/bombs 68

「まぁ、すぐ方がつくとは思わなかったがな・・・・・」
ズボンのポケットに入っている携帯電話を左手で取り、そこに書き込んでるアドレスを選択。非常用の緊急メールを送信する。あのポンコツは仕えない。朧にはこういうことは教えてない。相手が騎士団長だとして仕えるのはアイツぐらいか。
「やっぱ二人なんて調子こいてなくて逃げるかどっちか決めればよかったな」



ピピピッという場違いな電子音が狭い裏路地を走っていた黄泉の懐から響く。
雄太は気にせず後ろに振り向く。
どうやら騎士達からは逃げ切れたようだ。
黄泉は懐から薄い薄紅色の携帯電話を取り出し、液晶画面を覗き、軽く溜息をついた。
「はぁ、折角逃れたばかりというのに」
「?」
雄太は首を傾げつつ全身に自然治癒の強化を走らせる。
銃痕が凄まじい速度で治癒され、へし折られた骨がすぐに接続癒着していく。おかしなことだが強化の反動である筋肉の負傷が無い。
自分の≪力≫の変化に雄太が首を傾げる中、黄泉は何かを考えるように空を見上げた後、尋ねる。
「練習が必要だといいましたね」
「ああ」
あんな怪物を容易に殺すことが出来る≪妹≫を殺すためには力が必要だ。しかもただの力じゃない。鍛えられた強弓から放たれたような凄まじい威力の矢の如き力が。
ただ純粋に力を鍛えただけでは届かない。特化させなければならない。その為には死に物狂いの練習が必要だ。スライムを何百匹倒しても、もうレベルは上がらない。
「外道ですね。今まで殺してきた犠牲者を無駄の一言で切り捨てたのですか。その人達にも家族が、繋がりがあったのですよ。それを・・・・・」
「ああ、無駄だと俺は切り捨てる」
冷たい氷のような感覚で雄太は頷く。黄泉は溜息を漏らし、口元にどうしようもない微笑が浮かぶ。
「外道ゆえに覇道というわけですか」

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