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lost/bombs
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lost/bombs 67

「チッ」
視線を光橋から血兎へと変え、虚空に炎の大蛇を紡ぎ出すと襲い掛からせる。衝撃波の弾丸が掃射されるがそのまま大蛇は大口を開け喰らいつく。その口腔の中に空気泡が詰め込まれ内部から破裂し火の粉を撒き散らして大蛇は消える。
しかし、その瞬間には骸は血兎の視界外から滑り込み、その細い胴体を蹴り上げていた。
「がっ!」
メキメキと血兎の肋骨がへし折れる音が響く。同時に風を切り裂いて放たれた鉈が骸の側を切り裂いて抜けた。向こう側を見ると左腕を火傷で爛れさせた光橋が鉈を構えて立っている。
奇しくも同じ右腕の負傷。
アバラをへし折られ蹴り飛ばされた血兎は壁に叩きつけられながらも立ち上がろうとするが吐血した。
ただの内臓負傷じゃない。アバラの骨が内臓を傷つけている。
「女性を思いっきり蹴り飛ばすなんて酷いことをするよね。同じファクトリー出身だろ?」
「だから?手加減しろと。これから殺そうとする相手にそんなことを言うのは無駄だろ」
轟々と炎が渦巻き、獣のように光橋へと牙を剥く。
「あれれ?たしか、貴方の炎産霊は視界を媒介にした炎の生成だったはず。操作できるとは聞いてないな〜」
「能力が成長する実例はお前らもあるだろ」
骸は虚空に炎で作り上げた数対の鳥を光橋へと飛ばす。
深紅の炎鳥は複雑な軌道を描いて光橋へと迫り、その瞬間、地面に生まれた影より延びる無数の槍や大剣の刃の群れに貫かれる。
「なるほどね」
光橋はそう呟くと共に体の全身に漆黒の影が覆いつくす。一秒にも満たぬ時間にその体には禍々しい甲冑に包まれていた。
「楽しくなれそうだ」
「楽しむつもりは無ぇ」
「付き合いが悪いよ」
光橋が僅かに身をたわめ、砲弾のように突進する。早いとは思わない。その速度は明らかに甲冑のせいで衰えてる。炎産霊で撃墜できると思った骸の背筋を這いずる悪寒に、後ろに跳ぶ。それが生を伸ばした。
側の瓦礫の影から伸びた槍の切っ先が今まで骸のいた地点を貫く。そのままだったら内臓を抉っていた一撃。
やはり影を利用した転移能。しかも自分の影だけじゃないのか。凡要性は高いが、まだ弱い。甲冑を纏った光橋が巨大な人を縦に両断できそうな巨大な肉厚の太古剣を振り下ろす。凄まじい衝撃と共に大地が縦に割れた。
「すげぇ威力だな」
骸は宙に逆さに跳躍し光橋の全身を≪見≫て発火させる。劫火が渦を巻いてその体を包み込むが太古剣の一閃によって吹き散らされる。機動力を落としてまで纏った鎧だ。耐熱効果を持っているのか。

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