PiPi's World 投稿小説

lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

の最初へ
 63
 65
の最後へ

lost/bombs 65

吹き飛ばしたと錯覚したのは盾の表面にはめ込まれた女の顔。無数の蛇を頭皮に持つ女怪の紋章がはめ込まれた盾を持つ者は一人しか知らない。
「なんでこんな所に十二騎士団が二人いるんだよ」
「さて?なんでだろう?」
女と見間違うほどの優顔の男は優雅に微笑みながら剣の切っ先を骸の喉元へと押し付ける。
剣の先端から零れ落ちる毒々しい液体は中身がどんな症状があるかは知らないが予想はつく。剣に塗る液体などそんなの毒以外に在り得ない。
美貌の少年は剣で脅しながら妖艶に微笑む。
「水月骸さん・・・ですよね」
「違います」
「嘘はいけませんよ」
グイッと剣の切っ先が更に押し込まれる。幸いに刃は皮膚を破ってないか、掠っただけでヤバイ毒刃の前に身動きは取れない。
「知ってるなら聞くなよ」
「いいえ、僕は知りませんよ。ただ貴方が嘘をついたから気付いただけです」
「?」
骸は首をかしげ、美貌の少年は微笑む。嫌な予感に俺は多少犠牲は覚悟で『炎産霊』を発動させようとする。その寸前、少年は尋ねた。
「多少の犠牲を覚悟で逃げようとしてますね」
誰が答えるか!
骸は双眸に光を灯らせその顔面に灼熱の劫火を叩きつけようとする寸前、スルリと少年は後ろに下がる。それによって虚空に生まれた炎は何も燃やさず瞬時に消えた。
首元を触るが傷は無い。
そのまま立ち上がり、そして右の蹴りを放つ。殆ど不意打ちというよりも無謀。何も考えず放った攻撃を今度は盾で受け止める。少年がニッと笑い、骸はそのまま流れるように拳を振りかぶるが、その視界端で走る兎人の姿を見る。
劫火が生まれ、衝撃波が吹き散らす。

SNSでこの小説を紹介

アクションの他のリレー小説

こちらから小説を探す