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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 64

無数の空気泡が破裂し、震動が共鳴増幅される。生まれた衝撃波は既に爆発よりも激しく原子を揺らぎ、辺りの建物人々を塵へと分解する。



「あー、もう」
血兎はため息を漏らしながら目の前の惨劇を見る。
あらゆる物質を分解する『狂死曲(ラプソディ)』の前には死体も血痕も残らない。それなのに目の前には巨大な炎の防壁が轟々と音を立てて聳え立っていた。
その後ろ側で骸がみすぼらしい姿になったコートの右裾を見て唇を尖らせる。
「どうんだよ。コイツは結構高かったんだぜ」
「コンタクトも結構高いよ。『街』外ものだったからね」
「知るか」
「それはこっちの台詞」
年相応に舌を出す血兎に骸はため息をつきボロボロとなった裾の内側、鑢をかけたように血を流す腕の痛みを我慢する。
相乗効果によって衝撃波は威力を増す。なら多少の擬せは無視して自ら数の少ない場所に突っ込み、その後大半を火産霊で打ち落とせばいい。
襲撃の泡をブチ破った代償は少なくないが、あんな不意打ちは二度できるもんじゃない。
双眸に力を込める。
「さて死に方はミディアムがいいかね?それとも・・・・・・」
「どちらもお断りだ」
「!?」
突如後ろから聞こえてきた声に骸は振り向き、同時に脇腹に黒い鞘の横薙ぎを叩き込まれる。音を立てて肋骨がへし折れる音が響き、そのまま側に建物に叩きつけられる。
「がはっ!」
口元からは吐血。一発で内臓をやりやがった。そのまま流れるように鞘から引き抜かれる刃を見て『炎産霊』燃え上がる刀身から炎が持ち手へと襲いかかる。
「っ!」
使い手は突然の炎に驚いて刀の柄を投げ、腰から新たな刀を引き抜く。しかしそれより炎産霊が捕捉する方が速い。視認と同時にその顔を発火させる。豪っと唸りをあげて灼熱の炎が女の頭部を消し飛ばす。
しかし、炎は顔を消し飛ばすよりも早くその前に掲げられた無慈悲な盾によって防がれる。
炎産霊の弱点である視点を利用しての発火だ。

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