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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 63

「テメェ血兎だな」
「うん? そうだけど・・・・・え、もしかして騎士団の関係者だった? 私の部隊では見たことが無いけど」
血兎。その名の通り。
血塗れの兎。≪兎≫の騎士団を率いる騎士団長の一人。容赦なく人を殺しまくる十二の魔人の一人。
最低だ。このタイミングでこんな奴に出会うなんて。
骸の奥歯が静かに噛み締められ、サングラスの奥の双眸に光が灯る。
「テメェみたいな怪物がなんでこんな所にいる」
「失礼な言い方だな〜。私がウィンドウショッピングをしてたらいけない理由でも君にあるわけ?」
「ウィンドウショッピングよりも死体に杭を差して並べてた方が似合ってる」
「ムカッ! 私だって乙女なんですけど!っていうか初めての人に貴方とことん失礼ですね。・・・・・んん?」
血兎が眉を潜める。ありゃ?という言葉と共に再び空気が震動し、衝撃波が放たれる。宙から生まれた炎の劫火が激突し互いを相殺する。
血兎がボリボリと頭を掻く。
その顔には多少なりとも驚きの表情が浮かんでいた。
「驚いた。君、お尋ね者の水月骸じゃない」
「・・・・・・・・・・・・」
「ありゃりゃ同じ≪ファクトリー≫出身なのにそんなに怖い目つきをしないでよ。ああ、そういえば君は騎士団のお尋ね者だったよね。まぁ心配しないでよ。元仲間を騎士団に売ろうとは思わないからさ。コンタクトは弁償してもらうけどさ」
「黙ってろ。いやすぐに死なすから、それまで喋ってろ」
水月の全身から殺意が煙のように立ち昇る。辺りに漂う爆発の被害者の血臭が鼻につくが、それは互いにとって同じリスク。騎士団に侵入しようと思ったが、ここで血兎を見つけたのは不幸であり僥倖だ。十二の魔人最弱と呼ばれるこいつを殺すチャンス。少なくとも殺す価値も理由もある。他の被害なんてどうだっていい。
「ありゃりゃ本気で?」
「ああ、本気・・・・・!?」
≪火産霊≫を発動させようとする寸前、骸の視線が空中に浮かぶ数十個の空気泡を見た。その中に震動する空気は熱量を帯びつつある。今すぐに作り出せる量じゃない。
少女が満面の笑顔で手を振る。
「よかった、殺す気だったら殺されても文句を言わないよね」
死角にある空気泡は炎産霊では打ち落とせない。

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