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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 62

文句を言いつつ骸の脳内には騎士団本部へ侵入するコースが描かれる。今まで幾度となく侵入してきたコースは除外。猫目が入っていたんだ、警戒網は更に厳しくなってるだろう。最後に使うコースも残したい為、限られてくる中、最も危険なコースを選ぶ。
「死ぬ為に生きてる、か。あのポンコツも中々いいことをいうじゃねぇか」
骸の口元には獰猛な猛犬の笑みが浮かぶ。
「とりあえず死ぬ気で侵入するしかねぇな」



そんなことを呟きながら骸は路地裏を出て、そして偶然的に一人の女と出会う。短い茶髪の少女の頭から伸びる兎のような耳。兎の人獣型なんて珍しいな、と骸が首を傾げる中、彼女は地面を見回していた。
「ま、俺にはどうでもいいけどな〜」
骸はそのまま通り過ぎようとして―――何かを踏みつける。パキンッという音と共に兎人が絶叫する。
「ギャーーーーーッ!」
骸が靴裏を持ち上げると、そこには黒いコンタクトレンズの欠片があった。正確に言えば無惨な残骸が。
兎人の少女もきちんと見れば片方は赤目だ。
「ああ、なるほど」
「ああ、なるほど。じゃないって!どうするのよ、これ!この≪街≫でコンタクトなんて滅茶苦茶高級品なんだからね!」
「知るか。落としたほうが悪い。んで俺は急ぎの用があるから。じゃあ」
「じゃあ、で済ますか!」
少女の右手が結構な速度で掴みにかかる。それを交わし、そのまま人ごみに潜り込む。大量の獣人体が群がる人ごみに紛れ込めば探すのは一苦労じゃない。
「まぁ、運が悪かったと思って・・・・・・・・」
次の瞬間、骸の背筋をぞわっと恐怖が走った。振り向き、そして少女の唇から僅か少し前が陽炎を帯びるのを見た。空気が超震動によって蒸発している。
「馬鹿か!?」
骸が叫ぶよりも早く少女の唇で超震動を起こしていた空気は雷にも似た激しい衝撃音を響かせて爆発する。一瞬で周りの人々が吹き飛んだ。唐突の爆発、しかも不意打ちで起こった為、耐え切れたのは準備していた雄太と少女だけ。
「げほげほっ、っ、何をやったのよ」
「お前こそ、何をやろうとしやがった」
コイツ、今、人ごみの中に隠れていた骸をその人ごみごと薙ぎ払う―――いや皆殺ししようとしやがった。辛うじて≪火産霊≫がその衝撃波を相殺したからよかったもの。非常識すぎる。そしてその非常識には見覚えがある。

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