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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 61

大気を切り裂く極大の光芒は≪街≫の至る場所から見ることが出来た。
勿論、それは騎士団本部から抜け出した雄太と根国も昼飯として屋台のラーメンを啜っていた骸もだ。銀髪の間のサングラスの隙間から光を見て水月骸は盛大にため息をつく。
「勘定頼む」
骸は手早くサイフから取り出した金をカウンターに置くと外に出た。
「猫目のやろう。派手にやりすぎだろ。お前は力を持ってるからいいんだろうが俺たちが困るんだよ」
懐から取り出したのは携帯電話。その中に乗ってるアドレスを選択し通話ボタンを押す。相手はすぐに取った。どうやら向こうでも光には気づいたらしい。
「骸か?」
不機嫌な中性的な声。
「ああ、お前も見たか?」
「見た。いや、見てしまったというべきだろうな。あれは。出来れば見たくなかったものだ」
「確かに。だけど、このまま放置していい状況じゃねぇだろう。情報がいる。今から潜れるか?」
相手側に僅かな沈黙が積もる。その間に骸は人の気配が無い路地裏に潜り込む。相手からの返事は冷静な否定だった。
「無理だな。ほんの一ヶ月前本体を調整したばかりだ。これ以上、魂を削られれば更に調整に時間がかかる」
「チッ、やはりこの前の負荷が多かったか。わかった。お前は俺たちの鬼札の一枚だからな。いざという時死んでもらわなくちゃいけない。それまで体を大事にしてろ」
「ふん、まるで殺人鬼が殺すために命を大事しろと言うのと同じだな」
殺人鬼という名称に骸は黒髪のまだ青臭い少年を思い出す。
骸は笑った。あれは駄目だ。力はあるだろうが人として欠け過ぎてる。あれと同じだというならその通りなんだろう。最初から欠けていた者と自ら失うことを躊躇わない者には似てる。
「ああ、その通りだ。だから休んでろ。ポンコツ」
「ポンコツとは失礼な。これでも私は十二分に生きてる。死ぬ為に生きているのだ」
「自信満々に言うな、ボケッ!」
「ボケとは・・・・」
最後まで言いそうな所で通話を斬る。ブチッと音を立てる電話を懐のポケットに収め直し骸はサングラスを指先で持ち上げる。
「アイツが仕えないとなると後は俺ぐらいしか隠密活動が出来るヤツがいねぇな。ったくしょうがねぇな」

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