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lost/bombs
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lost/bombs 58

交わされてない。
当たらないのだ。
拳と蹴がまるで虚空を斬っているかのように黄泉の体をすり抜け、そしてカウンターのように拳銃が発砲。辛うじて反応速度を強化して相手の指先が引き金を引くよりも早く、その銃身を弾いて直撃を避けるが、あまりにも一報的な近接戦闘だ。
このままでは手詰まりになる。
雄太の意識は瞬時に戦略を編みこむ。
相手は世界から外れる力を使って攻撃を避けている。しかし全部じゃないはずだ。どこかが繋がっているからこそこの世界に残れる。
それは雄太自身は理解してなかったが、世界と世界を繋げる理屈の一つ。呼吸を整え全身に強化の力を隅々まで走らせると息吹と共に連続攻撃を開始した。
・・・・なら、全部を殴りつける。
ただでさえ二重強化したような身体能力を更に強化して拳と蹴りの乱舞を放つ。数えるほども阿呆らしいと思うほどの連撃が放たれ、しかし吹き飛ばされたのは雄太だった。吹き飛ばされながらも必死に体勢を整え、着地しようとする雄太の肩口を黄泉の虚の弾丸が貫く。
「がぁつ!」
激痛に呻き声が漏れる。体勢が悪くそのまま無様に地面に転がる雄太に向けて振り下ろされる黄泉のカカト。転がって躱し、地面の石畳を指で砕いた礫を指で弾くが、それも貫通。まるで幻影を相手にしているような手応えのなさだ。そのまま猫のように全身をたわめて間合をあげながら唸る。
「いや、幻影というより死体だ」
感情も気合もなく、ただ機械のように整った呼吸で攻撃をし続ける死体。
少し前の勢いのままで戦っていたら間違いなく銃殺されてただろう。しかし、なんともやり辛い。

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