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lost/bombs
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lost/bombs 55

「いらんよ。もう既に歌ってる」
虎仙の言葉と共に二人は再び激突。まだ決着はつかないだろうが結末はわかっていた。



雄太と根国は高速で騎士団の領地を駆け抜ける。領地とは即ち領域。騎士団本部から騎士が飛び出し、それを雄太は拳で追い払う。根国は何もしない。むしろ殺そうとした根国を雄太が停める。ソレに対して彼女は失笑した。
「練習はしないのですか?」
「ああ、この程度の奴を殺してたどり着けるとは思えない」
拳が残影を描いて騎士の鎧ごと吹き飛ばす。
それにしても弱い。騎士はこれほ弱かったか。
いや体に変化が起きていることはすぐに実感があった。
強化の精度が桁外れにあがっている。まるで一時的に肉体の限界を超える【二重強化】を使っているような力と速度を何の反動もなく使ってるような気分だ。
それでもこれほどの圧倒的な差は無いはず・・・それに・・・・
「心が醒めてる」
いつも怒ってる戦闘での激情が無い。戦うのを辞めていた異貌憑きの少女の時とは違う。殴り蹴り、当たれば強化した体でも致命傷を受けそうな攻撃をかわしながらも、それでも心は澄み切っていた。
まるで心の中で荒れていた嵐が収まり青空が覗いたような感覚。
右足が風切音を纏って騎士の放った斧の柄を弾き、逆の足が跳ね上がるようにアゴを打ち抜く。
聴覚に微細な音が聞こえ、それと同時に今までいた地点から動く。銃弾が突き刺さったのは次だ。
眼球を強化していた相手を探す。嗅覚と弾丸軌道から計算すればすぐに見つかった。
騎士団の遥か奥、狙撃銃を構える三人ほどの人影。

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