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lost/bombs
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lost/bombs 54

第零世代の持つ【世界創造】よりも下の【法則改竄】すなわち能力によって空を蹴りながら猫目の少女へと近づき、右の剛拳を叩きつける。
猫目の少女の周りに作られた世界が衝撃に歪み、更に左の拳を叩き込むことで粉砕、しかし、その瞬間に作られた水の大蛇が虎仙の腹を抉り、その体を吹き飛ばす。
咄嗟に腹筋に【気】を巡らしたとはいえ、作られたのは一トンの水が圧縮された大蛇。吹き飛ばされながらも肘うちによって大蛇を霧散させ、体勢を整える。
猫目の少女はため息をつきながら、吹き荒れる冷風によって舞う自前の赤っぽい茶髪を撫でる。
「ふぅ、まったく貴方ほどの位階にいる者がなんであんな奴の下についているのか、未だに心底わからないわね」
「それはおぬしはあの御方と同じ位階にいるからだ。下から見上げた空は澄み切ってる方が良い。自己満足の為に多くを犠牲にする暗雲より」
「あら? あの女の場合、綺麗って言っても全てが生きられない純粋純潔な空。誰もが死ぬわよ」
純度が高い水には酸素も含まれない。そんな空には誰も住めないという猫目の少女に虎仙には笑う。
獰猛な虎の笑みで、拳を構えた。
「本音を言うとな」
「ん?」
グルンッと虎仙の体が回転し、次の瞬間、その姿は少女の真後にあった。如何なる能力か、如何なる技かはわからない、ただ背後に回ったまま虎仙は獰猛に答える。
「そんなことはどうでもいい。あいつの下にいるのは拳を振るえて詩を歌えるからだ」
「虎になったくせに未だに歌をやめてないなんて相当ねちっこいわね」
「おぬしもな」
二人は同時に振り返り、そして同時に吹き飛ばされる。しかし傷も同じかと言うと違う。虎仙の腹には深々と抉られた痕があり、それに対して猫目の少女には微塵もケガが無い。
「とりあえず・・・・・末期の詩ぐらい歌う余裕はあげるわよ」

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