PiPi's World 投稿小説

lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

の最初へ
 50
 52
の最後へ

lost/bombs 52

「どういうつもりですか?」
根国は首をかしげ、紐を引き抜く。激痛を堪えて切断面をあわせ血液の凝固力を強化。そのまま接合する。
「じ、時間をかけすぎだ・・・・さっさと行くぞ」
「ああ、そういうことですか。わかりました」
根国は微笑し、再び右腕を振り上げヒモを使おうとする。それを雄太は左手で停めた。
放たれた糸を止められなくても、その腕ならまだ止められる。
「やめろ」
「はぁ・・・そう言われてましても黄泉の意識を奪っておかないと厄介なんですよ。あの御方と繋がってますから、いつ如何なる時、あのお方が出てくるか」
「どういう理由か知らないがやめろ」
左腕の握力を強化。ミシリミシリと傀儡使いの右腕が軋む音を立てる。それでも彼女が本気なれば瞬時に俺はバラバラになるだろう。わかってるが放せない。
「殺人鬼の癖に優しいんですね」
「・・・・・・最低な殺人鬼だからこそ・・・」
「懺悔のつもりですか?」
「いいや、だが、やめろ。止めなきゃ首を切る」
「・・・・・・わかりました。貴方には生きてもらわないといけませんから」
雄太と根国が言い合う間、ずっと黄泉は睨んでいた。黒い瞳を憎悪と激怒で濁らせて二人を睨み、更に奥、決して消えない記憶を思い出して恐怖し、睨んでいた。
その瞳は余りにも悲壮で憐れみを誘った。失礼なことだと思う。憐れみと優しさは紙一重。侮辱と失礼もまた紙一重。雄太は根国の後を追うようにして外へと逃げる。
黄泉と同じ瞳をする人達を知っている。
雄太が殺してきた親族。
何故、どうしてと嘆き、その事実を睨んでいた瞳。
いつもなら「面倒クサ」と斬り捨てて、見ないことにしてきた事実。それが今はとてつもなく重い。

SNSでこの小説を紹介

アクションの他のリレー小説

こちらから小説を探す