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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 51

そして銃声。焼け爛れた廊下を突き破って現れる黒髪の女。思わず拳を構える雄太に、女は微笑し、そしてまた同じ顔の黒髪の女が拳銃を持って飛び出してくる。
「貴様ぁ――っ!!」
放たれた銃弾は、しかし、女が振るう赤い紐に弾かれ、壁に埋まるのみ。
「傀儡使い?」
「ええ、どうやら大丈夫のようですね。貴方がいないと盟主様から賜ったお願いが無効になりますからね」
清楚な美貌に相応しい清廉な笑顔で傀儡使いは微笑み、紅い紐を振るう。
鋼糸とは比べ物にならない速度で走る紐は、さながら紅い閃光。一瞬で騎士団の庭に配置されていた彫像を粉微塵に切り刻みながら黄泉の胴体を直撃、その腹を三分の二程度引き裂く。
傷口から長い腸を漏らしつつ黄泉が拳銃を構え、その体が物凄い速度で地面に叩きつけられる。
「貴方、昔のことにこだわりするよ。【飼われた】ことぐらいどうってことはないでしょう?」
「テメェ・・・・殺す、ぜったいに殺す」
血塗れの激怒と憎悪にまみれた顔の壮絶さ。地面に叩きつけられた一撃で右足が変な方向に曲がってるのに無視して立ち上がろうとする。しかし立ち上がろうとした両足が赤光によって切断され、地面にひれ伏す。
「無駄よ。確かに【黄泉帰り】、すなわち世界の刹那的な逸脱、それによる自己のリセットは強力だけど・・・・」
黄泉の右足の断面がぶれて映る。まるで二重に重なるように全く傷が無い部分が添えられ、しかし、それが具現するよりも早く紅い光が無傷の足を両断する。
「私の【アトラク=ナクア】も世界から逸脱する力。貴方を完治させる前にバラバラに出来る。最初から某の状態だったら勝負にもなったんでしょうけど」
根国の宣言と共に紅い糸が黄泉の頭蓋へと振り下ろされる。それを雄太は右腕で防いだ。
「ぐつぅ!」
右腕を限界まで強化したのに紅い紐は骨まで切り裂いた。腕は辛うじて肉が繋いでる状態だった。それでも防げたのは黄泉が直前に雄太に気付いたからだ。そうでなければ腕どころか、体まで両断され死んでいる。

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