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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 49

「とある所に二人の存在がいました。一人は神様とも悪魔とも取れる力を持つ存在。もう一人はそれよりも僅かに弱く、それでも神様に匹敵する力を持つ存在。二人は、ある方にプレゼントを贈ろうと考えてました」
「何を言ってるんだ?」
黄泉は何を言ってるのかと首を傾げる。拳銃は既に狙いを定めて今にも引き金を引ける体勢。黄泉の傷口が修復――蘇生しているのに気付いているのに傀儡使いは話を続ける。
「さて黄泉。質問。プレゼントで必要なことって何?」
「―――は?」
唐突の質問に黄泉が戸惑う。その顔を見ながら傀儡使いは見えない顔で微笑む。
「時間切れ。プレゼントに必要なことは二つ。他のプレゼントと被らないこと、そして飽きるまで捨てられるまで絶対に壊れないこと」
傀儡使いは肩をすくめる。
「まぁ、少なくとも与えるまでに壊れたらプレゼントとは言わないからね」
「・・・・・本当にお前は何を言ってるんだ?」
黄泉は不思議そうに尋ねる。しかし彼女自身も気付いてないだろうが、その顔からは血の気が引いていた。青褪めた黄泉を見て傀儡使いは顔の包帯を指で解く。
「壊れたら同じ物がある量産品と何度も繰り返し使えるクリーニング品は壊れないという意味では同じでしょう?」
現れたのは滑らかな黒髪が美しい清楚な美女。巳の騎士団長、桃栗黄泉と同じ顔。
「・・・・・ぁ」
黄泉の顔が青褪める。
彼女は黒髪を靡かせ指先で自分の顔を確かめるかのように、なぞる。
「久しぶりね、この顔も」
「お、お前・・・・・・・」
「ん? 何、この顔に驚いたの? そりゃそうよね。自分と同じ顔があったら驚くのは当然か。十年近い付き合いになるけど初めて自己紹介するわ。桃栗根国。職種は傀儡使い。よろしく」
傀儡使い―桃栗根国は微笑みながら紅い紐を引く。
ブチッと生々しい音を立てて親衛隊の体が引き千切られ、血と臓物が噴出した。



・・・・・・・・・・・・・・・・・無様だ。
どうしようもなく雄太は生まれてから初めて感じる己に対する失望に心が埋め尽くさそうになっていた。
今まで相手を強いと思ったことは幾度もある。それでも強化という武器を使って必死に戦い、倒し、殺してきた。それなのに本当の化物に対しては一蹴された。

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