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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 48

傀儡使いの右手から零れる糸が辺りの廊下に張り巡らされる。これで全方位から糸が放たれ、テコの応用で並大抵の物体を両断できることになる。本来ならば黄泉の方もそれをさせなかっただろうが、ボロボロの体が動けない。
「今の貴方じゃ、再び肉片になるだけよ」
「そう・・・・ね。私だけだったら、そうなるわね」
黄泉の含み言葉が終らぬうちに極光に消滅した廊下の向こう側から数人の騎士団が現れ、黄泉を守る。黒い鱗に似た鎧を纏った騎士団。巳の騎士団の中でも黄泉の周りを守る為に存在する親衛隊だ。
その総合戦力は当然黄泉を上回る。
「そういえば、そんながいたわね」
傀儡使いは溜息をつきながら指先を動かす。連動する糸が複雑な描き、親衛隊の身体に絡みつき、その身体を両断――――
「あれ?」
したはずなのに、騎士団は何事も無いように動き出す。
傀儡使いは不思議に思いながら、更に糸を飛ばし、その両足を切断するが、やはり騎士団は動き続ける。
手応えがおかしいと気付くのは簡単だった。
「貴方、親衛隊に自分の血を分け与えてるわね。それでこの異常再生能力。しかも、あなた自身より早いってことは『原血』か」
切断しても傷口がずれるよりも早く癒着してる。
傀儡使いは溜息を漏らした。
「黄泉。貴方間違ってるわよ」
「?」
既に親衛隊は糸の壁を掻い潜り、いや、抉り抜けて剣の切っ先を傀儡使いへと振り下ろしていた。
そのまま振り下ろされれば、傀儡使いの新たな末端は容赦なく両断され、朱色の臓腑を撒き散らす。
「貴方、まだ自分の能力に疑問に思ってなかったの?」
ビクンと動きを親衛隊は剣を振り下ろす寸前に動きを止める。不自然な停止に黄泉は眉を潜め、傀儡使いは右の手の平を見せる。
手の平を突き破って『紅い紐』が飛び出し、親衛隊の全身を締めつけていた。
「ちょっとした物語をしましょうか」
親衛隊の刃が眼前にあるというのに傀儡使いは淡々とした物語を語る。

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