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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 47

気まぐれな猫のように≪猫目≫の少女は優雅に微笑む。
いつ現れたのか、どこに現れたかもわからない少女は圧倒的な存在感を撒き散らしていた。
「久しぶりね、虎仙。と言っても挨拶するつもりはないわ。今の貴方は私の約束の邪魔だもの」
猫目の少女の指先に圧倒的な光を凝縮される。
それは太陽の黒点にも比類する超極大の光熱。触れずに床が溶け始める。
「だから消し炭も残さず消えなさい」
「断る」
虎仙の姿が歪む。枯れ木のような姿が徐々に歪み、その長い白髪が全身に回り、巨躯を作り上げる。次の瞬間、そこにいたのは道服を纏った二本足で立つ白虎だ。体から溢れる生くさい獣気に猫目の少女の瞳が細まり、そして光が放たれる。
絶対致死。あらゆる生物無機物がその光を前に生存を許されない。力の奔流に廊下が消し飛んだ。

位階(ランク)と呼ばれる区別がある。
これは差別じゃない。単純な区別。肉食動物と草食動物をわけるように、正常者と異常者を分けるように、天才と凡人を分けるように、区別されているのは単純に双方の為であるのだ。


傀儡使いはそれを十三年前に思い知らされた。
目の前で放たれた光芒は白虎の右拳によって空へと打ち上げられる。あれほどの熱量を防ぐ業はまさに仙人の秘術に相応しい。しかし、その光と共に距離を縮めた少女の蹴りを同時に防ぐ手はなく明らかに子供と大人ほどもある白虎が外に叩き飛ばされる。
それを追撃する猫目の少女が傀儡使いを一瞥、傀儡使いは頷き、ソレを見た後、少女もまた白虎を追撃する為に外へと飛び出す。
残った傀儡使いは外に飛ばされた雄太の元へと行こうとして眼前を横切った弾丸に動きを止めた。
「早いですね」
「そりゃね。ちょっとは頑張ったかな」
黄泉は拳銃を右手に構えながら血塗れの顔で笑う。ある程度蘇生した後、無理して歩いてきたようだ。手足は未だに断面が残り、そこから血の泡が零れ落ちる。
「でも、もう少し寝てた方が良かったんじゃない」

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