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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 46

「ふむ。躊躇なく不意打ちで首を狙ってきたか」
顎髭を撫でながら壁にたたきつけた雄太を見る。雄太は身体に走る衝撃を堪えながら立ち上がろうとして嘔吐した。口元からあふれ出す吐瀉物を吐き捨て、服の裾で拭う。
虎仙の掌底の一撃がいかに重いかと思い知らせる光景。しかもただ重いだけでなく相手の内部へと衝撃が残る。
それでもすぐさま雄太は三半規管などの身体バランスを強化して立ち上がる。
「さて儂はここで聞くのは何故おぬしらが脱獄し何を沢山でおるのかなのだが、・・・・まぁ、別よい」
虎仙は楽しげに拳を構えなおし、不敵に笑う。
「儂は儂が楽しめればそれでよい」
「騎士団はもう少し人選を考えて欲しいですね」
「それはおぬし達の結社もじゃろうに」
虎仙が呟くと共に、その姿は消える。
雄太と傀儡使いの視線が天井へと向かい、そして同時に天井を蹴り、床に着地する音が聞こえる。虎仙がいたのは雄太の眼前。殆ど無防備な雄太の腹へと両拳を触れる。
殴るではなく、ただ触れる。その恐怖に雄太の体が硬直し、そして回避することもなく轟音を立てて廊下の壁を突き破って外へと吹き飛ばされた。
中国拳法にある寸剄。
雄太も真似事で使ったこともあるが虎仙の一撃はそんなものじゃない。両拳から放たれた衝撃は肋骨をへし折り、今先の掌底の衝撃を更に十倍にしたような波動を体内へと残していた。
壁の外へとたたき出された雄太を一瞥した後、虎仙は傀儡使いへと構える。
「一番戦力にならない相手から消す・・・・ですが。珍しい。貴方らしくない戦術です」
「いやいや、あいつはまだこれから面白くなる。ここでお前とやりあっていては手加減せずに一緒につぶすかもしれん。だから最初に外れてももらった」
「慈悲ですか。しかし、それが今回は仇になる」
「?」
「盟主様はおっしゃいました。お兄様とはあの場所で再会したい、と。ですがそれはあの場所以外では出現できないという理由ではないのですよ。光と影の関係のように」
「・・・・・・・・!」
「盟主様はあの方さえいなかったら、どこでも縦横無尽に唯我独尊で現れるのです。さて虎と猫。自然界では虎が勝つといわれてますが、この≪街≫ではどうなでしょうか?」

「あら、失礼ね。私が勝つに決まってるじゃない」

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