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lost/bombs
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lost/bombs 45

一番考えていたのはそれだった。おかしなことは沢山あるが、それが一番近いように思えたからだ。傀儡使いは歩きながら首を横に振る。
「いいえ違います。答えはほしいですか?」
「いらん」
雄太は即答して歩き続ける。傀儡使いは僅かに目を細めて穏やかに笑う。
「これはヒントですよ。黄泉を倒すためのヒントではなく物語の最奥に近づくヒントですけど」
「い・ら・な・い」
雄太は一文字一句断言するように言葉を紡ぐ。
「・・・・そうですか。ふむ。黄泉は玩具としてはまだまだというわけですか」
「そういう意味じゃ・・・・・・・・」
説明するように言葉を続けようとした雄太の言葉が止まり振り向く。
誰も居なかったはずの廊下。そのはずなのに・・・・・白髪の道服を纏った老人が佇み、好々爺のような笑みを浮かべていた。
「っ」
「往々、これはどうしたことかのぅ。面会にやって着てみれば本人はおらず≪巳≫は死んでおる。いや、あれを死んでおるというのは死者に失礼か」
二人は、すぐさま戦闘態勢をとるが、虎仙は気にした様子もなく包帯を包まれた傀儡使いを見て驚きの声を漏らす。
「これは珍しい。猫の使者か。今回はどういう厄介ごとを持ち込んできた?」
「厄介ごととは失礼ですね。≪四凶の檮こつ≫と呼ばれた貴方ほどじゃない」
「まさか!猫の気まぐれには儂も負ける」
どうやら二人は知り合いのようだった。
しかし、それは明らかに仲の良い知り合いとは思えない。二人の間に漂うドス黒く金属のように重い空気がその証拠だった。
「その青年をどうする?」
「貴方に言うと思うか。人食い虎」
「蜘蛛なぞ踏み潰して終わりだぞ、ゴミ虫」
二人の間で火花が散る。その瞬間雄太は走る。一気に虎仙の間合を狭め、その首筋に豪腕の一撃を叩きつける。
指先が空気を切り裂くが、手応えはない。
僅かな動きで交わした虎仙の周りを囲む糸の檻。
虎仙は手首を捻る。それだけのことなのに大気が渦巻き、捉えようとした糸を檻を歪ませる。
そのまま虎仙は逆の手で雄太へと掌底を放ち、それを両腕の十字受けで防御し、そのまま吹き飛ばされて壁に叩きつけられる。
「がっ!・・・!」
桁外れに重い一撃に雄太は呻き、傀儡使いも絡み取られた糸を切り離す。

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