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lost/bombs
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lost/bombs 41

そして騎士団が配布する漆黒の対魔術対衝撃用外套を羽織る。これは相手の攻撃を忌避してじゃなくて単純に牢獄が寒いからだ。腰の二丁拳銃の弾倉に銃弾が装填されてるのを確認してから、そして溜息をつく。
「はぁ、本当に行かなないと駄目?」
包帯に包まれた人影が首をかしげた。
「珍しいわね。貴方がこんなに行きたがらないなんて」
「だってアイツを思い出すと、なんか胸がざわつくんだ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「絶対に断言できる。恋とか怒りとかじゃなくて何かがざわめくんだ。まるであたしの内側に何か知らない奴がいるみたいに」
黄泉の顔に浮かんでいたのは彼女に似合わない戸惑いだったんだろう。
忌々しそうに自分の胸元を掴み、言葉を吐く。
「戦っていた時は何も言わなかったのに・・・・・・」
「そう・・・それじゃ辞めておくの?」
傀儡使いの言葉には若干だが優しさが込められていた。それを感じた黄泉だが首を横に振る。
「やっぱり行くわ。この感覚もわからないし」
黄泉は未だに違和感を感じているようだったが、意志は確実に牢獄に繋がれている草薙雄太へと向っていた。いや、それが彼女自身の本当の意志かはわからない。
ただ、その様子を見て傀儡使いは包帯に隠れていた口で溜息をつく。
・・・・我が君主様は一体、どんな戯れをしようとなさるのか。
溜息に答えるものは少なくとも、この部屋にいなかった。


くすっ


草薙雄太は騎士団本部の最深部にある牢獄と呼ぶには余りにも禍々しい部屋の中央で全身を拘束服に包まれて寝ていた。完璧な熟睡。鼻提灯はないが、その瞳は夢を見ている時に起こる動きすらもなく寝ていた。
だから地下室にわざわざ下りてきた黄泉と傀儡使いは思わず呆れた。

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