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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 40


その轟音は遠くまで響き渡り、聞いた骸は舌打ちした。
「あの野郎。マジでやりやがったな」
騎士団。その上部にいる団長の戦闘力は馬鹿げてる。
性格も外見も無視した『力』のみを基準にした採用だ。しかもその力だって桁外れ。十二騎士団の団長も力が足りないゆえに空席があるという。あの騎士団が虎や犬ならば、まだ生き延びれる可能性はある。しかし兎や鼠なら絶望的だ。あいつらは獲物を肉片も残さず貪り尽くす。   
「もう一度会えるなら一緒に仕事をしてもいいな」
骸はそう言うなりに街の路地裏に潜り込む。闇に隠れるように銀髪と深紅の瞳が消えた。





「あー、最悪」
桃栗黄泉は騎士団の団長が持つ自室のソファに寝そべりながら思わず呻いていた。両腰には拳銃が備え付けられてるが警戒心などまったくなく同時に女らしさも欠片もなかった。
「虎のジジイ。今回早すぎだろ。あたしの騎士団が来る前にやってきやがって。全部お前のせいだぞ」
「失礼ね。全部私のせいにしないでくれない?」
黄泉の前にいたのは全身を包帯に纏った人影。覗くのは深紅の瞳。傀儡使い。
「一々末端を調整しなおすなよ。いつものクローンでいいだろうに。それよりもお前の糸ならすぐに場所ぐらいわかっただろ」
「この街で糸を常駐的に張り巡らせるなんて無理よ。捻れ狂った街に逆に引きずり込まれて変質するもの」
「ま、そういうもんか」
この街では設置型罠などは不可能だ。一週間もせず変異し勝手に動き出す。自分の罠に自分でかかるなんて冗談ごとも在り得ない話じゃない。
「まぁどっちにしろ。顔ぐらい見に行かないといかないだろうなぁ」
「そりゃそうよ。依頼だもの」
「あー、公務員がアルバイトなんてするもんじゃないな、ホント」
黄泉は立ち上がり、背中に流れる黒髪を手早く紅い紐で結ぶ。

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