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lost/bombs
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lost/bombs 36

いついたのか、騎士団を後ろに白い道服を纏い、胸元まで白髭を伸ばした枯れ木のような老人が佇んでいた。細い瞳の奥で楽しげに笑みを浮かべているのを見て雄太の体がぞわっと恐怖に震えた。
「・・・・・・」
ギリッと奥歯を噛み締めて雄太は老人を睨みつける。
「誰だ?」
「それはお前の台詞か?むしろ儂が言う台詞じゃろう。まぁよか。尋ねてきたなら答えてやるのが人の礼儀。虎の騎士団を率いる虎仙という。お前は?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
騎士団を率いる、つまり、あの女が率いる騎士団とは違うということか。なら闘う必要は無い。全身の筋肉をたわめて脱出するタイミングを図る。だが、それよりも早く虎仙の笑い声が響く。
「さあ儂は答えた、おぬしの番じゃぞ」
答えないという選択肢はなかった。今ここでそんな態度を取って殺されるのは問題外だ。雄太にはまだ『約束』が残っている。
「・・・・・・草薙雄太」
「ふむ。それにしてもお前、よく暴れまわったのう。ここまで壊すとは思わんかったぞ」
周りをよく見れば騎士団の槍激によって大地は抉れ壁は粉砕し、所構わず砕け散っている状態になっていた。殆ど意識の大半を攻撃から躱すことに向けていた為、周りの被害など全然気付いてなかった。いや気付いたとしても、雄太は気にはしない。
「騎士達がやったことだ」
「原因はお前だぞ」
「壊したのはお前らだ」
下手な返事は即、死に繋がることはわかっていたが一文字一句聞きやすいように大声で答える。虎仙は破顔したように笑みを浮かべながら指を鳴らす。
雄太を抑えていた騎士達はすぐさま方天戟を収めた。
「面白いのぅ。ただの虚勢や罵声ならばわかるが、あの時点でも堂々と言うとは。お前、心臓に毛が生えておるぞ」
「そしたら病院に言って整形するさ」
雄太は立ち上がりながら虎仙を見る。好々爺のような風貌だが見ているだけで背筋が震えるほどの原子的な恐怖が押し寄せ、噛み殺す。
「今から儂が質問するから答えよ。もし答えなかったらどうなるかは・・・・まぁわかるよな」
「あんたが殺すか」
「殺す? まぁ、それぐらいになれば上等じゃろう。儂が直接手を出せば大抵殺すにはならぬ・・・・・消える。もしくは消し飛ぶが正確じゃろうな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
思わず無言になる雄太だが、周りの騎士の雰囲気が明確に現していた。明らかに三十七人かがりで闘っていたよりも安堵している。
「さて質問1。ここにいた異貌憑きはどうした?」

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