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lost/bombs
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lost/bombs 34

「餓虎の陣!」
その言葉には異貌憑きではない、という疑問は含まれていなかった。冷静に冷徹に研ぎ澄まされた殺意と共に一斉に全員が獲物を構える。
銃・・・・ではなかった。
奇妙な武器。槍に似て先端は三つに分かれ、中心の刃は直線に、他の二つは湾曲に、点を突くように作られた武器。雄太は知らなかったが古代中国で方天戟と呼ばれる武具だと。
最前列にいた五人の騎士が飛び掛る。まるで餓えた虎のように重量がある全身鎧をきているとは思えない身体能力で一気に雄太の下へと飛び掛り、方天戟を振り下ろす。
雄太は後ろに跳んで交わし、そして反撃するよりも早く次の騎士団達が飛び掛る。
「っ!」
雄太は動体視力を強化し、放たれた五本の刃を見切り、あるいは柄の部分に蹴りを打ち込むことで弾くが・・・・重い!・・・・桁外れに重い!
よく考えれば異貌憑きという怪物を相手にするわけだから一撃必殺に主点が置かれるのは当然だ。
あまりの重さに、蹴りを打ち込んだ足が痺れ、雄太の体がぐらつく。そこへ熾烈な五本の槍が放たれる。雄太は残った片足によって後ろに跳ぶが、それでも早かった一本が肩を抉る。
激痛が脳髄を汚染しそうな程押し寄せた。視界が先行に染まるほどの激痛に、口が勝手に悲鳴をあげ、全身から冷汗が濁流のように溢れ出る。
地面にのた打ち回り、その痛みを発散したい、という衝動的な欲求を噛み殺せたのは、その痛みが始めてでなかったから。
桃栗黄泉と言った女の銃弾と同じ痛み・・・・いや、あれより若干落ちるが、それでも気絶した方がマシと思わせる痛み。
黄泉の銃弾の場合、死んだ方がマシと思えるのだから若干だが弱い。勿論、それでも十二分に痛いことは確かだ。
更に騎士は連続して槍を放ってくる。
まるで群体の生物のように一人一人が全力で突きを放ち、それなのに全体が保管し、流れるままに全力攻撃を続けてくる。
抉られれば激痛。まともに受ければ即死。
その状況の中、雄太は速度を増しながら動き続ける。

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