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lost/bombs
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lost/bombs 33

騎士団。本来ならば時代錯誤な単語。だが雄太の脳内で一人の女性が浮かび上がる。辛うじて逃げることが出来た程の強敵が。
ぞわり、ぞわり、と全身から立ち昇ったのは恐怖ではなく殺意だった。今まで感じたことが無いほどの敵意が殺意となって全身から噴き上がる。
「おい!まさか、騎士団とやるつもりか!?」
「あの女がいなかったら殺らない。いたら殺る」
「お前、≪街≫の騎士団を、そこらの自警団と一緒にしてるんじゃねぇ!相手は異貌憑きに類する化物をゴキブリを潰すように鏖殺する人外集団だぞ!死ぬぞ!」
骸の言葉を「知らん」と切り捨てて雄太は全身に強化をかける。
まるで全身が炎のように熱い。意味がわからないと自分自身の心の端から冷静な自分が問いかける。
何故、それほどの感情を滾らせているのか、と。
雄太自身、これほどの感情を滾らせるのは滅多に無い。殺意衝動ならばあるが、この場合は少し違う。
わからないと雄太は首を傾げながらも、黒い瞳は炎に彩られるように色を増し、まるで瞳の中で黒い炎が燃え盛るようになっていた。
「チッ、一応忠告はしたぞ」
骸は背中に少女を背負ったまま店の裏口から路地裏へと入っていく。
その様子を見て騎士団とはあまり言い関係ではないらしい。そのことを考えながらも雄太の脳は久しぶりの感情の奔流に沸騰し、融解し、蒸発し、爆発しかける。
一瞬前の感情の停滞が、まるでタールのように。そのタールに放たれた敵意という火は、瞬時に殺意という爆炎へと変わる。
ギチギチギチッと奥歯が軋み、強化した全身が今にも放たれそうな勢いを高める。
そして店の中から全身を甲冑に包んだ一人目の男が現れた瞬間―――雄太は地面を削る程の踏み込みと共に跳躍。瞬時に間合を詰め、その兜に包まれた頭を掴み、そのまま投げる。風を切り裂いて甲冑の騎士はそのまま裏庭の地面に激突、五度ほどバウンドして、そのまま隣の家に叩き込まれる。
轟音と共に更なる騎士が現れ、雄太を見て瞬時に合図した。

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