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lost/bombs
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lost/bombs 24

「いや全然」
骸の言葉に雄太は首を横に振る。骸は思わず破顔し、少し離れた場所にいた朧も同じく苦笑した。
「なるほどな」
「? わけがわからん」
全然意味がわからないと首を傾げる雄太の首に骸は腕を絡め、引きずるよう連れて行く。
「よし一緒に飯を食いにいくか。お前この洛妖を知らないだろ。教えてやるよ」
さっぱりわからないと首を傾げながらも引きずられるままに扉を潜り、外の喧騒の中に入っていく雄太。
外は賄雑としていて人の温度が常に漂い、人の罵声と怒声と謝罪と困惑の声が入り混じる騒音が集まっていた。その中を骸は切り分けるように人ごみを分けて進んでいく。いや、よく見れば骸が交わしているのではなく人ごみの方が骸を見つけると怯えるように別れていくのだ。その時に人々が浮かべる表情の恐怖と嫌悪。
一体、どんなことをすればこんな顔で見られることになるのだろうと自分のことを棚にあげて雄太は考えていると黒いコートの裾を握られる。
「なんだ?」
振り向くと一人の少女が物欲しげに雄太を見ていた。
顔を隠すように黒い外套を羽織ったまだ十を越えてないぐらいの少女が、手を持ち上げて雄太に物をせがむ。
「・・・・物乞いか。使えるのかは知らないが」
懐から取り出したサイフから福沢諭吉を一枚手渡す。
「!」
少女の驚いた顔に使えるのかと納得した後、雄太は無言で犬猫を追い払うように手を振る。それでも少女が行こうとしないから雄太の方が歩き出す。
既に骸からは離れたが嗅覚を強化すれば問題は無い。多少、臭いのを我慢すれば、だが。
しかし嗅覚を強化する前に朧がクスクスと手で隠しながら嫌な笑い方で近づいてくる。
「殺人鬼にも一時の温情?」
「違う。ただの気まぐれだ」
よく考えれ見れば何故温厚をかけたのかもわからない。
普通だったら、出会い頭に首を切り落としたかもしれない。
考えて思いつくのは・・・やはり子供で女からアレを連想させるからか。
「ガキは嫌いだ」
「くくく、そうは見えないけどね」
含み笑いを浮かべる骸はそのまま1歩先を行く。
目の前をちらつく銀髪が鬱陶しい。にやけた黄金色の瞳が忌々しい。雄太は思わず歯噛みし、そんな心の動きに自分で驚く。
「どうした? 早く着いて来ないと、この悪臭をかぐことになるよ」

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