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lost/bombs
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lost/bombs 23

朧の叫びに骸のサングラスに隠れた視線が雄太に無言で尋ねる。雄太が頷くと共にその厳しい顔が一気に人懐っこい笑みに変わった。
「なんだよ。そういうことなら先に言ってくれよ。悪かったな。殺人鬼程度って言っちまって」
「あ、・・・いや、どっちにしても殺人鬼だ」
立ちあがり頬の感触を確かめる。一撃で奥歯がぐらつき今にも取れそうだ。歯肉を強化してなんとか固定しながら骸の方を見る。
「あんたは別に殺人鬼を怖れてないんだな」
「殺人鬼なんてこの街にははき捨てるほどいる。目的があって殺人をする奴も、目的がなくて快楽で殺しをする奴も、まったく理解できない殺人鬼も。まぁ、あんたは見た感じ、まともな方だしな」
骸の台詞を聞いて益々、この街への疑問が浮かび上がる。体内時間から気絶した時間を計算しても、それほどの時間はたってないはずだ。それなのに、この見覚えがない場所はどこだ。日本であることも、わからない。
「ここはどこだ?」
骸ではなく、その後ろにいた朧に尋ねると彼女は銀髪を靡かせ、黄金色の瞳を丸くする。
まるで何故そんなことを聞く必要があるのか、と視線が問う。
「どこって洛妖以外に何がある」
「烙妖?」
聞き覚えが無い都市名。思わず怪訝げにした雄太を朧と骸の二人は首を傾げてみる。
「へ?あんた壊乱都市・烙妖を知らないの?あんた、殺人鬼だろ?」
「殺人鬼だったら知ってるのが常識なのか?」
「は?」
骸の質問に再び質問で返してしまう。思わず雄太と骸は見詰め合ってしまうが朧が苦笑した。
「義兄。もしかしてこいつ本当に知らないのかもしれない」
「は?なんでだよ。殺人鬼なんだろ。それだったら・・・・・」
「殺人鬼と言っても『外』の殺人鬼だからな」
「・・・・・・・・・マジかよ。外の殺人鬼が洛妖に来るなんてどんだけ人外なんだよ」
呻くような口調だが、骸の口元は笑みが浮かんでいた。左腕を突き出し握手を求めてくる。
「よろしく殺人鬼」
「ああ」
なんとなく握り返すと思った以上の握力に捕まれた。
人狼の握力。強化すれば振りほどくことが出来るがそのままにしていると骸の口元の笑みが深くなった。手を離され、ジンジンと痛む感じを抑える。
「お前、良い奴っぽいな」

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