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lost/bombs
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lost/bombs 3

その五分後、灰色の鈍い防御甲冑に身を包んだ一個騎士団が公園へと集まり、人狼の屍を見て困惑していた。その中央、一人だけ軍服を纏ってない二十代後半の女性は煙草から紫煙を吐き捨てながら眉を潜める。
「なんだぁ?他の≪イヌ≫や≪トラ≫の連中がやったって話は来てないぞ。一体どういうことだ、コラ!」
「そ、某に聞かれてもわかりませぬ」
「わかってろ、ボケッ!」
側の部下に理不尽な文句を垂れながら軍服の女性、機動騎士団第七部隊長『桃栗黄泉』は腰元まで伸びる綺麗な自前の黒髪を掻き毟る。
「ったくよぉ、久しぶりのドンパチだってのに、一発も撃てずに終わりかよ。つまんねえよ、マジでつまんねえ」
 まるで戦闘狂のような言い草だ。
それが厳つい巨躯の男の言うことならともかく長い黒髪に真珠のような綺麗な肌、大和撫子ともいえる可憐な美貌の美女が言うには多少、変である。
 勿論、部下にはそんなことをいう命知らずはいない。
「撤退だ、撤退!死体は袋に入れて持ち帰れよ。ったく、マジでムカつくぜ。殺し犯人はあたしが、ぶち殺しやるからな」
黄泉は唇を噛み締めながらアルコール中毒者のように腰元に下げた通常の拳銃より約二割大きい特製の拳銃へと指をかけたり、外したりの行為を行う。
その間、小さく囁くように。
「しかも素手でだと? 阿呆か、ただの獣人体を引き裂くだけでも大型重機が必要なんだぞ。こいつの場合は更に研究所で強化されていた。そいつを捕らえろなんて結社も面倒臭いアルバイトを依頼しやがって」
おびえる口調だが、その反面、顔には耐えようも無い嬉々とした獰猛な笑みが浮かんでいる。
「ただの獲物じゃねぇな。これほどの獣人を狩るほどの相手は十分な狩人(ハンター)だ。なら、あたしも久しぶりに本気を出して駆らないとな。クククッ、楽しくなりそうだ」




その頃、雄太は何をしていたかといえば手足を丁寧に海の水で洗った後、最近再び牛丼を再会した店へとやってきていた。150円引き。そのくらいなら現在温かい懐は全然傷まない。
その理由が被害者から奪った金だったとしても。
「なんにしますか?」
「牛丼大盛り」
淡々とそう答ながら、とりあえずコップに一杯の水を注ぎ、ゴクリと飲み干す。喉は乾いていた。激しい強化によって大量の疲労はあるが、それよりも喉が辛い。更に一杯、もう一杯と、五杯近く飲み干しているうちに牛丼がやってくる。

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