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lost/bombs
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lost/bombs 16

まるで神経をそのまま鑢で削られるような激痛を堪えて地面に落ちた鉄筋を拾いなおすと、射線上から隠れるように家々の間にもぐりこむ。あれほどの実力なら跳弾ぐらいも予測して放てるだろうが弾丸は一度物質に当たれば六割は速度を落とす。それならば十分無傷の片腕で叩き落すことが出来る。それよりも疑問なのは銃弾の傷と、鋼糸が襲い掛かってこなかったことだ。組んでいるとすれば間違いなく好機な筈だ。この傷で銃弾とは違い、僅かな指先の動きによって千差万別に動く鋼糸を交わしきれない。
「・・・・何を考えてる?」
雄太は思わず呟くが返答はなく、いや返答にも似た弾丸が襲ってきて鉄筋で弾き返す。その間も人狼少女は高速移動を繰り返して銃弾を交わしつつ、凍気による攻撃を続けていた。
「凍る雨」
人狼少女の右腕が虚空を撫でると同時に無数の氷礫が唸りをあげて黄泉へと放たれる。その数は百に匹敵し、相手を牽制する技だ。その数ゆえに相手は全弾を回避することは出来ない。
それを黄泉は笑いながら拳銃の銃身をまるでトンファーの如く使って自分に当たる分を悉く弾き返す。まるで昔の映画であった拳法だ。在り得ない行動に人狼少女は目を丸くしながらも銃撃がなくなったことによって間合を詰める。
人狼の腕力によって拳が放たれる。並みの人間ならば触れた場所が削り取られるほどの凶拳だが黄泉は笑みを浮かべて回避行動を取らない。
「舐めるなッ!」
朧は吼えながら拳を黄泉の無防備な動体へと叩きつけるが――ーそのまますり抜けた。驚きに硬直する朧へと二丁拳銃の銃口が向い、朧はその銃口を凍らせることで防ぎ、更に回り蹴りを打ち込むが、それすらもまるで霞のように黄泉の身体をすり抜ける。
幻覚?!
それとも・・・・・朧と雄太の瞳が相手の能力を探ろうと細まる。それを見て黄泉は楽しげに笑い、銃口同士を叩きつけることで氷を粉砕し、再びあの拳法の構えを取る。
「なんか悪いわね。あたしの能力は希少(レア)で。一瞬でわからないだろ。教えてあげてもいいんだが・・・・・・」
「結構!」
黄泉の言葉を朧は無視して銀髪をなびかせながら全身から極大の凍気を吹きあがらせて爛々と黄金の狼眼を光らせる。
「全部を凍らせるッ!」

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