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lost/bombs
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lost/bombs 14

「何をしてる? そのくらい交わせ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
後から追いついてきた銀髪を靡かせる人狼少女に雄太は不思議そうに眉を潜める。人狼少女は忌々しそうに呟いた。
「あんなわけがわからない理由で見逃されたら弧月の名の恥だ。せめてマシな理由を考えろ」
「それだけの理由?」
「それ以外に何がある」
人狼少女は本当に怪訝げに眉を潜め、雄太は楽しげに苦笑を浮かべる。
「なぜ笑う?」
「いやいやなんとも面白いガキだ」
「ガキ扱いするな。これでも十五だ」
少女の右腕から放たれた凍気の奔流が迫る鋼糸を凍結させ微細な氷片へと砕く。
「俺より二つも年下じゃねぇか」
その間も複雑な軌道を描きながら鋼糸の斬撃を交わし、二人は人形繰りへと接近していた。
二人の前に塞がる敵は全て薙ぎ払う。まさに暴風雨のように鋼糸によって切り刻まれた土石流が襲い掛かるが、それを文字通り真正面からぶち抜いて二人は人形繰りへと迫り、そして彼方より放たれた銃弾を雄太は右腕で防いだ。皮膚の強化。鋼の強度を得た皮膚がめり込むのを防ぐが次の瞬間、弾丸が爆発する。小型の弾丸が爆発したとは思えない手榴弾並の威力に全身から黒煙を零しながら雄太は地面に倒れる。
人狼少女が更に連続して銃声が一発に聞こえるほどの超高速連続射撃によって放たれる弾丸を氷の防壁で防ぐが強烈な爆発はそれすらも粉砕し、少女の小柄な肢体を吹き飛ばした。それでも辛うじて人狼少女は空中で体勢を整え、着地時に硬直を最小現に抑えてすぐさま放たれた弾丸の掃射を交わす。
そして相手を見た。艶やかな黒髪を靡かせる美女が拳銃から立ち昇る硝煙を幻想のように纏い、凛々しく気高く、そして獰猛に立ちはだかる姿を。
美女の口元が獰猛な笑みを形作る。それは心がざわめく程、魅力的で凶暴な絶大なる意志によって形作られた意味。両手に握る拳銃を十字架の如く重ね合わせ、騎士のように目の前の怨敵に対し敬意を払う。
「はじめまして。あたしの名前は桃栗黄泉。お前らの名前はなんだ」
「?」
「名前はなんだって聞いてんだろうが、糞ガキども!」
黒髪を靡かせる清楚とも可憐とも呼べる風貌に危機感を宿らせるほどの壮絶な罵声。人狼少女は押されるように。
「弧月朧」

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