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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 113

「それを俺にしろと」
雪崩に飲み込まれたままの格好で雄太は呻く。その横には白い発光体が螢のように舞う。強化した雄太の指先が神速で貫こうと走るが交わされる。指先が音速の壁を突破した衝撃波を吹き散らしているのに発光体には何の変容もない。普通じゃない。
「無理だ。俺には殺すことしか出来ない」
「殺すしか出来ないんじゃなくてしなかったんだろう。君の力は生物の系統樹を遡ることも進むことも出来る力。あのような異能ではなく文字通り人間が手に入れる可能性がある力なんだ。異端ではなく正統。ゆえに命を作ることが出来る」
「それは女の役目だろう?」
「男も女の関係ない。精子も卵子がなければ受精できない。逆もしかりだ」
「そういう下ネタはどう返したらいいか、わからない。大体、俺には興味ない」
全身を強化ならぬ『進化』させて冷気への耐性と皮膚の再生を始める。
雪の間を掻き分けて辛うじて立ち上がり、空を見上げる。
緑の炎と蒼い氷と黒い極光と虹の闇の激突に半笑い。
「凄いな」
「世界を滅ぼす双神と世界の加護を受けた獣神の戦いだ。あの結果が世界の壊れ方を設定するぞ」
「どちらにしても壊れるのか?」
「ああ、戦いとはそういうものだ」
光の玉がそう説明した瞬間、蒼い空がはじけた。巨大な漆黒と緑の炎が侵食し、空は切り刻まれ、飲み込まれる。青い空は消滅し、そこには幾多の四角形(スクウェア)状の物体が浮かんでいる異様な空間になる。
「なんだ、あれ?」
「因果律の固定資産。まぁ簡単にいえば死んだ世界の残骸だ。残骸だからって無碍にするなよ。次の世界の栄養にもなるんだからな」
「そうはいうがあいつらは全然構いやしないって感じだが?」
獣神の二人組みの方は空を飛ぶということになれてないのか、四角形の上に乗ったり、それを足場に跳躍して神々の背後を取ろうと攻撃を繰り出す。
「凍る牙嵐!」
「爛れ腐れ落ちろ!」
無数の氷の狼と、生き物のように蠢く緑色の大蛇の炎が一斉に二人の神の全身にくらいつき、血肉を噴き上げさせながら地面へと叩きつける。

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