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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 112

自然界で行われる捕食者と非捕食者の力量の差。この場合は世界の後押し、壊される恐怖に獣へと流れ込む因果率というべきか。
「蝕炎の海に溺れろ」
壱虎の炎が更に膨れ上がり、大海嘯の津波のように二人へと襲い掛かる。双神は後ろに跳び、しかし、退路を塞ぐように氷の剣が突き立つ。砕くのは刹那も要らないと思って拳を振るう前に現れる壱虎のしなやかな肢体。右の腕には緑炎が蛇のように絡みつき、緑色の双眸が爛々と輝いていた。
「しっ!」
正拳突きを躱す二人はそのまま左右に別れて着地。上空から降り注ぐ無数の氷の剣と地面から噴き上がる氷の縛鎖の群れを交わしながら、爛々と双眸の色を変える。
「魔眼・黄泉乃平坂」
「妖眼・悪路王」

≪さて質問をしよう。君とって世界とは何だ?
 見知らぬ土地で見知らぬ仕事をする見知らぬ人を含んだ、この星全部が君の世界か?
 否、とは答えられない。例えるなら自分の身の回りにいる千人にも満たない人たちとのかかわりを世界を呼ぶのか?
 否、とは答えられない。この星のことを?自分を中心として環境を? 理屈や法則を? 法律や矛盾を? 理屈と数学によって構成される基準を? マイクロ、オメガ。全て世界であり、全て世界ではない。
唯一無二して真なる『世界』あらゆる世界を含む『真世界』を求めることが神によって見捨てられた私たちが持つ救罪である≫


四人の世界は激突と破壊と再生と治癒を繰り返す。
しかし胎動はない。何も生まれることはない。あらゆる死があっても、生物を生長させる試練があっても、あらゆる生物を腐敗させて次の糧にする者がいても、そこに命が生まれる要素がない。
四人では相反してしまう。偶数では割り切れる。すなわち零となる。

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