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lost/bombs
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ただ白い。白くして白くて白すぎて純白すぎて触れて汚れてしまうのではないかと畏れるぐらいに怖い白。人狼のような白であり、雪のような白であり、赤子のような白であり、何でもないような白。空から見下ろす白の少女の双眸が唯一蒼く、しかし、それは白を含んだ蒼ゆえに彼女の全ては白を含んでいた。虹の闇でも黒の光でもなく純白の獣が眼下を見下ろし、二柱の神々を睨み、そして囁く。
「潰す――いや、食い殺す」
次の瞬間、白狼の少女は屋上から地面へと落下していた。落下しながらビルの側面へ雪を放出、それを使って流れるようにすべり、更に質量をあげて雪崩を作り出す。巨大な白い瀑布が二人の神々、そして周りにいる悪霊や鬼達を飲み込む。
「で?」
「先程の攻撃の方がまだ芯があったのぅ」
地面に敷き詰められた雪の上に着地する朧の左右から少女と美女が囁く。
「凍る―――縛鎖!」
地面に敷き詰められた雪の中から数百の氷の鎖が二人の神々に絡みつき、束縛する。しかし氷は瞬時に粉砕=同化されて消える。そのまま二神はそれぞれの攻撃を放とうと手をあげ、その背後から蹴りを叩き込まれバランスを崩す。
「なんだろうな。お前らを見てると全身がムズムズ疼く」
壱虎の中華服を纏っていたが、その全身から立ち昇る陽炎が徐々に緑色の炎へと変化していく。それと一緒に壱虎の双眸もまた螢のような緑色へと変わる。宝石ではなく自然の緑に限りなく似た濃くて淡く、常に変動する緑の瞳だ。

渦巻く緑色の炎は本来、炎ではありえないように海嘯のように壱虎の周りを暴れ廻り、そして二人の神へと遅いいかかる。地面に触れた雪を一切溶かさず、襲い掛かった緑炎に虹の神は拳を放ち、その瞬間、その右腕が肉液へとなって溶けた。
「!?」
破壊されたのじゃないと驚く虹神はすぐさま遠のき、変わるように黒衣の女神の手から漆黒の光刃が走る。緑色の炎が断ち切られ、しかし、黒い光は蒼い氷に受け止められ、霧散する。朧と壱虎はその隙を逃さず追撃しようするが虹色の光の壁が行手を遮った。
「なるほどね。『神』と『獣』の『ゼロバランス』か」

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