PiPi's World 投稿小説

lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

の最初へ
 108
 110
の最後へ

lost/bombs 110

「なんで、ついてくるんだ?」
「お前があたしに、ついてきてるんだろ?」
「ふん」
二人は視線を互いにそっぽを向き、そして、ある建物の屋上に着地。そして次の足場へと跳躍することが出来なかった。二人の視線の前には無数に乱光を繰り返し、激突する二つの大世界があった。
一つの光点から迸る膨大な黒い光は全ての色を飲み込み、消滅させる。あらゆる漆黒を超えた漆黒は全ての色を飲み込み、己とするだろう。返すように虹色の膨大な闇が放たれる。万色ゆえに全ての色と同化させる闇は全てを無くす。二つの衝突に、しかし朧と壱虎はそのまま眺めることはしない。
「しばく」
「壊死させる」
朧の右手に巨大な十メートルほどもある鉄塊のような氷が生まれる。余りにも巨大で朧一人で支えきれるものじゃない。いや、元々支えるつもりなど無いと言ったところか。彼女は右手に作り上げた氷塊に左手を押し付ける。凍気の奔流が渦巻き、氷の鎖となって氷塊に突き刺さる。そして彼女は吼えた。
神を喰らう太古の狼神の如き咆哮に二つの大神は一瞬止まり、その瞬間を狙っての壱虎の強襲の蹴りが二人を地面へと叩きつける。
「っぅ!な、何?」
「獣王態か!?」
地面に叩きつけながらもほぼ無傷の二人に壱虎は口笛を吹き、しかし、二柱の神々に見えたのは巨大な氷の塊。
「凍る鉄槌!」
大規模破壊攻撃が神々を叩き潰し、更にその中に秘められていた魔眼の絶対凍結が発動。あらゆる物質、あらゆる精神、あらゆる世界を凍りつかせる力が吹き荒れ、全てを瞬時に氷結、氷塵へと粉散した。分子以上のレベルで粉散された粒子が空中で混合し、白い雪となる中、朧と壱虎は屋上から伸びるクレーンの上で眼下を眺める。
「ふーん、骸の妹に虎の孫娘か」
「獣王態じゃないのに、かなりの世界を持ってるな」
上から見下ろす獣に、神は下から見降ろす。二人の間では無数の骸骨と怪物が火花と破砕音を立てて争っていた。虹闇と黒光も激突し、互いを喰らい合い何も産まずに消滅する。

SNSでこの小説を紹介

アクションの他のリレー小説

こちらから小説を探す