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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 108

虹色の髪がうねり、その隙間から禍々しい怪腕が伸び、漆黒の彼女の身体を握り潰そうとする。それを向え打つの影の怪物。二つの怪物――含む世界に周りの物質が耐え切れず量子分解されるのを眺めながら、黒髪―漆黒―黒曜の君は微笑む。それは金剛石のように砕けることが無い鋼の視線だった。影の獣の爪牙と赤黒い肌を持つ鬼の腕が互いに血肉を抉る間で、二人の視線が交錯し、互いの本意を探ろうとし、あっさりと諦めた。
「世界を破滅させるが私達の宿命」
「破滅させ修復し、更なる高位へと進めるのが我等が悲嘆」
≪そうだ。それがために・・・・≫
「けど、それが何?」
「興味ないわね」
影の獣が巨大な顎が鬼の肩を噛み千切り、鬼の怪腕が影の獣の首を捻じ切る。
二人の間に凶悪な笑みと殺意が満ちる。
「私は私の幸せの為に生きる」
「それを邪魔するなら誰だって壊す」
「ああ、そうか」
「なるほどね。私たちは姉妹じゃないわね」
二人は同じ言葉を同じタイミングで言う。まるで鏡の向こう側に映る自分に囁くように。
「「貴方は私。だから存在すら許せない」」
虹色の美少女と漆黒の美女は笑いながら都市破壊できるような凶悪な一撃を互いに放つ。世界が更なる上位の世界に押し潰される。

「あー、世界が忌々しいな」
両手両足を失って獣王態―炎狼から人間態へと戻った骸は忌々しそうに目を細めて澄み切った青空を見る。覗き込む銀髪の美青年に唾を吐きかけたら避けられ、そのまま重力の鎖に縛れて自分の頬に当たった。
「何しに来やがった、ポンコツ」
「うむ。死に場所をどうやら間違えたらしい。まぁ正確に言えば置いてきぼりにされたらしい。なので暇つぶしに顔を覗き込みに来た」
「ついでに看取ろうってか。あー、煙草が欲しい」
両手を失って煙草も持てず、いや、もてたとしても服装は殆ど失っている。それなのに突き出される煙草の匂い。
「ほれ」
「サンキュー」
煙草の端を口に咥え、口先の熱量を操作して火をつける。好物の煙草の味と匂いに思わず笑みが浮かんだ。
「美味(うま)」
「ふむ。そうか。私も吸ってみたが然程美味だと感じなかったが?」
「酒と一緒よ。なれないと旨みが感じないってね。つーか、お前吸ったのかよ。煙は汚れになるって嫌いってたじゃねぇか」
「最後だからな。最後ぐらい自分を曲げてもおかしくあるまい?」
「そうだな。最後ならいいだろ」

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