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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 107

根国の断言に猫の少女は空中に数十の雷球を生み出す。紫電を飛び散らせる光球は、すぐさま槍となって切っ先を根国へと向けた。
「主を殺そうとする忠臣なんて聞いたことが無いな」
「それが私の忠義ですから」
猫の少女の雷槍が根国の身体を穿ち、赤い紐が猫の少女の首を切断する。飛び散る鮮血の中で楽しげに≪悪魔≫の少女は微笑む。そこには二つの屍と一柱の神の亡骸がある。いや、亡骸というのはおかしいか。死の神が死ぬことなど笑い話にもならない。
「根国という常世の国に住まいし黄泉の女神は、八雷神という武器を持って死を生み出す」
天より放たれた極大の厳ツ霊(イカヅチ)が大地を穿ち、巨大な死の気配が雷鳴に胎動しながら産まれようとしていた。そしてまた別の神も同じくして。
「バステト(豊穣の神)が死の神(ウェプワウェト)になる」

巨大な砂風が無数の貧狼のように吼え狂い、紫電が無数の光蛇となって唸り声をあげる。

『検体1の暴走の可能性があり』
『世界変動率に干渉』
『神降臨の危険性・同等神格による対抵抗存在を生成する必要性あり』
『SYSTEM・神よ神よなぜ我を見捨てたもう・開始』
「黙ってなさい」
周囲に広がりつつある世界外の言霊を少女の宣言が吹き飛ばし塵々に砕く。能力や世界なら余波が回りに影響があるはずなのだが少女の力は回りに何も影響を与えない。砂塵と雷光が収束し、一つの形を作りだす。
「神様か。神様と人間と怪物にどれほどの違いがあるのかしら?」
砂と雷の嵐の中から生まれたのは怪物だった。足元どころか、側にまで流れる十メートル以上ある麗しい虹色の髪。様々に色を変える髪の中には十歳程度の少女が佇む。あらゆるシロを凌駕する白き肌に整いすぎて非人間じみた顔は無表情に、赤い瞳で少女を見る。少女もまた赤い瞳で彼女を見た。
「始めまして。妹」
「              」
「空気を震わせてないわよ。次元調律をしなさい」
「・・・・ィェァ73、ぇ、ぁ、ぁあっ。よし」
喉を鳴らして発声の練習をした後、虹色の少女は悪魔の少女に満面の笑みを浮かべる。
「始めまして、妹」
「あら? そちらが妹じゃなくて?」
「うん? そうなのか。ああ、でも、どちらでもいいだろう? これからキミは死ぬのだから」

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