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lost/bombs
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lost/bombs 106

猫という名の悪魔。神の堕落した姿の私を見て彼は何を思うだろうか。妹として愛して殺してくれるか。そんなはずは無い。盟約が教えるはずだ。目の前の妹は自分の騙している最低な女だと。だけど、もしかしたら、でも、彼は私を救ってくれるのではないか。
「・・・・偶然、奇蹟の確率か」
ボソッと呟いた言葉に誰も答えるはずがない。溜息を漏らして猫の少女は立ち上がる。このまま再生するまで待つことは出来ない。これからまだすることは沢山あるのだ。魂のオリジナルの一端が覚醒したのなら、なお更のこと。残りの時間は決して短くない。だけど、それだから余計に離れ辛い。最後は自分の意思で終りたいと思ったから≪神よ、なぜ私を見捨てたもう≫を作ったのだから。
「ジレンマ」
「それなら私がどうかしてあげようか?」
背後から聞こえてきた声に、猫の少女が振り向き様に膨大な雷を解き放つ。極大の雷光は分子融解させるほどの熱量を持って大地を薙ぎ払い、硝子色の光沢へと還る。
熱が陽炎となって漂う荒野の中に彼女は優雅に佇んでいた。
「どう?」
「誰がお前なんかに頼むか」
「ふーん。それで不幸になったら一緒じゃない?」
「一緒じゃない!」
最後ぐらい自分で決めさせろ。そう睨む猫の少女に彼女は微笑む
「無理よ」
次の瞬間、猫の少女の首に赤い紐が絡みつく。≪アトラク=ナクア≫。世界から逸脱し、あらゆる世界に介入し、あらゆる存在を断ち切ることが出来る禍々しい蜘蛛の糸。
紐を辿って糸の主を見る。路地裏の中から爛々と赤い双眸を輝かせる根国を見て唸る。
「裏切ったか。根国」
同じオリジナルからの別身ゆえの共感から信用していた。少なくとも相手側に憑かないだろうと思っていた。
猫の少女の睨みを、しかし、根国は横に頭を振るう。
「いいえ、裏切ってません。私の主。ご主人様」
「なら、これはなんだ?」
「ただ、貴方に死んで貰いたいだけです」

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