PiPi's World 投稿小説

lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

の最初へ
 102
 104
の最後へ

lost/bombs 104

二人は咄嗟に拳で砕くが、その質に驚いた。白い樹木かと思ったそれは無数の骸骨によって作られていた。カタカタと顎を鳴らして樹木を形成する骸骨たちがそれぞれの手や顎を伸ばしてくるのを祓いながら間合を取る。
「魔眼まで進化したのはいいけど、亡者を操る程度の能力はいらないわね」
地面から湧き上がる無数の亡者達を彼女は指の一振りで生み出した種火が消滅させていく。
確かに全てを食らい消滅させる漆黒の炎に、あらゆる攻撃に微塵も傷つかない防御力の前には、大量の雑魚を呼び出す程度の力は必要ないだろう。
壱虎と朧の視線が交錯し、その中間を漆黒の光が切り裂く。レーザーのように炎を飛ばした様子を確かめる闇夜の美女に、朧は宙に氷の剣を生み出した。
「凍る・・・・・・」
再び漆黒の炎がレーザーのように朧の首を断とうと走る。それを蒼い魔眼が受け止め、氷結、霧散させた。
「!?」
「銀世界!!」
雪の瀑布に凍気と氷剣が混じった白い波動が大気を凍てつかせながら漆黒の美女へと叩き込まれ、巨大な白爆が生まれた。その中でも闇夜の美女は微塵も動かず、凍りもしない。彼女の双眸はこの白煙の中をどうやってくるのか、という遊びのような気分で見ていた。
「おぉらぁ!」
白煙の中を、虎の少女は真正面から飛び掛る。
愚直までの前進のまま、彼女は背骨が限界まで曲げるようにそらせる。そして鞭のような蹴りを闇夜の神へと叩き込む。その脚は少女の細脚でなく虎の強靭な脚へと変化し、威力は桁外れに上がっている。
美女の首筋へと叩き込まれた蹴りと共に――冷静な声が響いた。
「それで?」
漆黒の灯火を宿した白指が壱虎の腹を抉る。全てを喰らう炎の前に、壱虎の腹は掻き消え、いや、それどころか、姿も掻き消える。現れたのは白い水分の結晶体――雪。
その背後でニヤリと頬を釣り上げ、三日月の肉食獣の笑みを浮かべる壱虎。
「神様ってのは騙されやすいな。そんなんじゃ現代は生きていけねぇぜ」
「っ!」
振り向くように黄泉の凶指が後ろにいる壱虎へと放たれ、今度こそ彼女の姿が掻き消える。どこにいったと周りを見回す彼女の額を内側から突き破る指先。

SNSでこの小説を紹介

アクションの他のリレー小説

こちらから小説を探す