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lost/bombs
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lost/bombs 11

互いに無数の軽傷は負っていたが自然治癒力の強化と人狼が持つ凄まじい再生能力で見る見る間に治っていく。
「もう一度聞こう、お前は誰だ?そして何故、私を襲う」
少女の質問に雄太は答えない。いや、答が無い。
何故かなどわからないのだ。ただ殺しあってるという現状がある。理由も無い殺し合い。
「喋らないというわけか」
「いや、喋る理由が無い」
雄太はポツリと呟き、人狼少女は眉を潜める。灼熱化したナイフは未だ凄まじい高熱を持って空気を焦がし、空気中に含まれた水を白い水蒸気に変えて、噴き上げ続けている。
そのナイフを構えなおし雄太は厳かにどこか淡々と答えた。
「俺がお前と戦う理由も意味も無い」
「なら何故、闘う?」
「・・・・・・」
質問には答えない。ただナイフを構え意識を収束させる。灼熱の刃は必殺だろう。相手がどんな相手でも倒せる自信がある。自信とはすわなち確信だ。
あらゆる敵を薙ぎ払い、蹴散らす自負。
「貴様の考えてることがさっぱりわからん」
それでも人狼少女は再び構えなおす。まるで一本の槍のように凍気を纏った左腕を前に突き出し、全身を細く力を溜め込む。
「だが闘いから逃げれば我が弧月の名に恥じる」
「恥・・・か。悪いな、それもない」
雄太は全身の筋力と神経に強化をかけ、そして一気に愚直なまでの直線的に人狼へと走る。
人狼少女の左腕が跳ね上がる。
大地を凍結させながら凍気が迫り、雄太は地面を蹴り跳躍することで回避。
そこに人狼の左腕が横薙ぎされて生まれた氷の槍が打ち込まれる。
数は六。狙いは鋭く弾かなければ全弾あたる。
ナイフを持って氷の槍を迎撃、粉砕。
氷片と水が飛び散る中を、雄太は落下しながら狙いを定め、ナイフを投げる。
まさか、投げるとは思ってなかった人狼少女は思わず身体を硬直させ、しかし辛うじてナイフの刃を交わす。地面に突き刺さったナイフは長時間の高熱に耐え切れず刀身が解け始め、人狼少女が交わすために必要だった時間を得て無事に雄太は着地。そのまま一気に走り間合を狭める。
「凍る風!」
人狼少女の左腕が虚空を書くと同時に凍気を纏った暴風が吹き荒れる。
地面に凍気が走り、一瞬で辺りの木材や器物が凍結、人を壊死させる魔風が雄太に向って迸る。
「っ!」
雄太は高熱を纏った左腕を風を切り裂く。左腕の直前で風は高熱にぶつかり激しい水蒸気の嵐を生み出すが、それを切り裂いて雄太は一直線に飛び、そして人狼の少女の懐へと入り込む。

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