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天使に牙を、悪魔には涙の唄を、
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天使に牙を、悪魔には涙の唄を、 4

猫背気味で悪かったな、っという意思を込めた目で瞳を睨む。
「・・・・・・どうしたの?仕事?」
だから、嫌いなんだ。
瞳は酷く感がいい。
俺が夜、天使の仕事をやってくるとピタリとそれを当てる。
もちろん、俺が天使であることはバレてないが。
「だったら?」
こいつと話せば話すほど陰鬱な気分になる。瞳が明るすぎて自分が日陰でしか生きられないような錯覚に陥る。
夜は暗闇の底で仕事を行うが、日が出ているときぐらい気楽に過ごしたいのだ。
「なんでそんなに邪険にするのよ・・・・・・」
悲しそうな顔になる瞳。後一押しで泣き出しそうだ。
すると、急に立ち止まる。
触らぬ神に祟り無し。ほおっておこう。

学校に着く。
瞳とは学年が違うので、俺がヘマをしない限り会うことはないだろう。

教室に入り、適当な友達に挨拶すると別のクラスなのに、来るのを待っていたのか太悟が現れる。
瞳のことだろう。
「悲しそうな顔してたなぁ〜」
だからどうした。
「どんな顔でもかわいいけど、笑った顔が最高だよなぁ〜」
・・・・・・。
・・・・・・。
「用件は?」
「謝ってこいよ」
チャラけた太悟にしては妙に重みを持った声だ。
「関係・・・・・・」
「関係あるよ」
俺の言葉に覆い被さるように、太悟の言葉が俺の言葉を書き消す。
席を立ち、教室から出ようとする俺を太悟は何も言わずついてくる。
向かう先は屋上。

太悟と真剣な話をするときはいつもそこだ。

「何度言わせんだ?これは俺と瞳の問題だろ・・・・・・!」
語尾を荒げてしまった。俺らしくない、っと思う以前に俺も人並みの生活ができるんだと実感する。

「じゃあ、お前は・・・・・・目の前で大事な人が!命を絶とうってしてるときも!関係無いって言って、見捨てんのかよ!」
太悟の大きく振りかぶられた拳が、鈍い音をたてて俺の頬に直撃する。
長い間、太悟とは瞳の事で話してきたが、太悟が手をあげたのは初めてだ。
頬から全身に伝う痛みでどれだけ太悟が瞳のことを真剣に考えているかがわかる。
だから、俺も熱くなった。
「それとこれとは関係ないだろ?俺の瞳への思いはなぁ!大事とかじゃないんだよ!」
太悟のパンチで尻餅をついていたが、立ち上がり、左足を踏み込む。そのまま、腰を捻り、頭部に向かって回し蹴りを放つ。
「関係ない、関係ないって!じゃあ俺はなんなんだよ!俺は、俺はぁ!」
紙一重でかわし、体勢を整えたところに俺が息つく暇を与えず蹴りを放つ。
「俺は瞳が好きなんだよ!」
埋まるように腹部に渾身の蹴りが入ったが、太悟は俺の足を掴むと俺の軸足に足をかけ、引き倒す。

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