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子守唄を添えて…
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子守唄を添えて… 3

「なによ。久しぶりなんだから、いいじゃない?」
「そうッスか…俺はこれください」
きっとテーブルのスペースないし。
料理が来て、食べているとふとTVが目に入った。
季節の変わり目によくやる特番らしい。どうやら歌番組のようだ。
そして…昔の名曲ベスト4に彼女が選ばれた。
TVの中、彼女はその曲を誇り高く歌っていた。
「私、あの歌手嫌い」
「なんでスか?」
凛さんは箸を止めてこう言った。

「だって…自分に嘘ついてるから」

「そう…ッスか…。自分なのに…?」
「自分なのに」
「それじゃあ…『今』の貴女は…?」
「…………。楽しいわ…あの頃に比べたら断然ね…♪」
TVに映る彼女の名前は『神谷凛』。神夜凛の昔の名前である。

「お腹いっぱいだわ〜…」
「そりゃあんだけ食べるとそうなるッスよ」
「きゃああっ…!!!!」
ちなみに凛さんの声ではない。この人がこんな可愛らしい声を出すはずがない。
「ハクちゃん…今、変なこと考えて無かった?」
「…冤罪ッス…」
それはそうと、声が聞こえた方を向いていると、高校生くらいの女の子が三人の不良に囲まれていた。ベタ過ぎだった。
「おい!!肩ぶつけといて、なんも無しかよぉ…!!」
「ご、ごめんなさい…」
「ごめんなさいじゃ済まねぇんだよっ!!」
「ごめんなさいっ…!!」
「うるせぇよ!!こっち来いや!!」
不良三人組は強引に女の子の腕を引っ張った。
「うっわー…あれ助けたほうがよくないッスか?」
「ふむ…しょうがないわね…」
コツコツと凛さんが不良三人組に近付く。
「貴方達、みっともないわよ。嫌がってるじゃない?止めなさい」
「あ!!?お前、誰だよ…」
「そーね…平和を守るお姫様ってとこかしら♪」
その年でお姫様は無理があった。
「ぶわははは!!お姫様だってよ!!超こえ〜!!」
「くっくっ…やべーな!!」
「ぎゃははは!!この女より、このお姫様にすっか…!!」
などと爆笑である。
相変わらず女の子は不安な顔をしていた。
「っさいわねぇ…ぎゃあぎゃあ…まるで貴方達…エサを待つ雛鳥みたいよ…♪」
不良達の顔色が変わった。
「なんだと…!?」
「ふさけんなゴルァ!!」
「あら…?ふざけてなんて、いませんわ?…真実ですもの…♪」
「ちっ…この野郎っ…!!」
不良の一人が拳を振り上げた。そしてそのまま凛さんの顔めがけて、拳を突き出した。
が…しかし、凛さんは首を傾けるだけで回避する。
そして柔らかく、殴りに来た不良の胸を手のひらで押した。
「うおっ…!?」
それは驚きの声なのか。不良はそのまま尻餅をついた。もちろんもう二人の不良も目を丸くしている。
「やめておきなさい…これが最後の忠告よ…?」
倒された不良は顔を真っ赤にし、恥ずかしさと怒りをあらわにしている。
「くっそ…!!てめー…!!」
そして不良三人組は同時に凛さんに殴りかかったのである。
ここで訂正する場面がある。
忠告ではなく…警告だったのだ。

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