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Private Excution
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Private Excution 7

いくらサブマシンガンが相手とはいえ、一対一では全く負ける気はしない。
 背後を銃撃音が追ってくる。しかしそれにも全く怯むことなく、朔馬が走る。少女の周りを円を描きながら、しかし徐々にその半径を縮めていく。
 ぱすん、ぱすん、という気の抜けた音。弾切れ。朔馬が待ち望んでいた瞬間。
 一瞬の停滞。
 それを見逃す朔馬ではない。
 少女にしてみれば、瞬間移動でもしたように見えただろう。朔馬は床を蹴り、一気に少女との距離を詰めると、その砲身を叩き斬る。続いて、刀を持ち替えて刃の向きを替え、少女の首筋を狙う。
かわせる筈はない。少なくとも一般的な女子高生ならば。
 斬撃が、空を斬る。
 朔馬の目が、驚愕に見開かれる。
 朔馬は反射的に刃を立て、バックステップで飛び退く。
 ぎぃん、という金属がぶつかり合う音と共に、少女の姿が視界に飛び込む。その手には、コンバットナイフが握られている。
 一旦距離を置き、様子を見る。
おかしな点が多すぎる。まず、ただの女子高生にここまでの動きが出来るわけがない。それに、彼女の攻撃には殺意が感じられない。先ほどの刺突を回避できたのは、一重に朔馬の自己防衛本能が働いたに過ぎない。今も、濁った、虚ろな眼で朔馬を睨んでいる。
──虚ろな、眼?
「──まさかッ!!」
 脳裏を過ぎる、最悪の推測。
『ようやく気付いたか?《枢公院》の執行官』
 鼻で笑う声が降ってくる。
「彼女は、《セブンス・ヘブン》の恩恵を受けているのだよ」
首筋にひんやりとした感触が張り付いている。死と隣り合わせの危険な冷たさ。
「提案がある」
男が言う。喉元に刀を突きつけられたまま。
「何?」
蒼依か訊く。頸動脈に爪を立てられたまま。
「一旦離れないか?このままだと埒があかんだろ?」
「イヤ」
蒼依の即答は突き放すような響きを包含している。
「離した瞬間に首かき斬られるなんてイヤだし」「そうか」
そう言うと、男はゆっくりと鈎爪を引く。
「これでどうだ?」
両手を上げ、攻撃意志がないことをアピールする。
蒼依は一瞬、呆気にとられた顔をしたが、やがてゆっくりと刀を引いた。その唇の端はなだらかに上がっている。
「いい女だな」
「あら、見ればわかるじゃない」
冗談っぽく蒼依が言うが、彼女の場合、実際相手に納得させるだけの要素は兼ね備えている。
「あたしが刀引かなかったらどうするつもりだったの?」
「死んでたさ」
男はおどけて笑って見せる。しかし、同時に鈎爪を構え直すところを見れば、やはり敵意は消えていないようだ。
「仕切り直しだ」
男の身体が沈む。

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