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Private Excution
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Private Excution 24

「だからって!次が同じだとは限らないだろう!」
「同じならどうする?人は日に日に進化している。お前のその刀もその産物だろう。‥‥もっとも、お前のそれは何の能力もない、ただの日本刀だがな!」
強引に押し返す六峰の力を利用して背後に飛び、朔馬は不敵に笑う。
「確かにそうさ‥‥昼間はな」
「‥‥何?」
訝るように六峰が眉を寄せる。
「どうして俺が《常闇の銀星》なんて呼ばれてるのか知らないのか?」
朔馬はゆっくりと、《月下紫苑》を頭上に掲げて瞼を下ろす。
六峰の目の色が変わる。
「俺の相棒は夜行性でな」
《月下紫苑》は、月の光を吸い、銀色の輝きが刀身から鍔へかけて徐々に紫へ変わっていた。
さらに、朔馬にも。
まるで追い出された銀の光が行き場を求めるように主の頭上へと降り注ぐ。光は朔馬の黒髪を浸食し、瞬く間に白銀へと塗り変えた。
「夜になってようやく目を覚ますんだよな」
眼を開いた朔馬の双眸は、頭髪と同じ色へと変化していた。
「こけおどしを!」
六峰は10メートル以上あった距離を一瞬で0にする。
それに対し、朔馬は刀を腰だめに構える。
勝負は、一瞬。
からん、という音がした。
「‥‥贋作じゃあ失敗作にも勝てないのか」
やれやれ、と首をすくめたのは六峰東次。その手には刀身が半ばからへし折れた日本刀が握られている。
「‥‥人間は進化なんてしてないさ」
ぼそり、とこぼした朔馬の声は、六峰の耳にも届いた。
「人間だって必死なんだ。より便利に、より豊かに、そして、より強く‥‥」
「それが危険なのだと、何故わからん、御子神朔馬‥‥?」
もはや六峰に先程までの語気はない。
「安心したよ」
朔馬は、笑っていた。優しく、柔らかく。
「あんたはただの人殺しじゃないんだな」
朔馬は、六峰と刃を交えた時から薄々気付いていた。彼は彼の正義を信じて戦っていることに。その方法は褒められたものでなくとも。
「フン‥‥まぁいい。いずれまた、お前はゆっくり殺しに来ることにする。俺を殺さなかったことを後悔するんだな」
言い終わる前に、六峰の体が光に包まれ、その語尾は尻すぼみに小さくなっていった。
「その時は‥‥」
朔馬がその続きを口にすることはなかった。
どさり、と倒れ込んだその肩の辺りから、赤黒い液体がアスファルトを伝う。
朔馬は、遊馬の声が近づくのを聞きながら、ゆっくりと遠退く意識を追い掛けた。

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