PiPi's World 投稿小説

Private Excution
その他リレー小説 - アクション

の最初へ
 20
 22
の最後へ

Private Excution 22

「あのデカい人形が自爆しやがったんだよ」
今にも舌打ちしそうな雰囲気で、遊馬が言う。
「じ、自爆‥‥?」
朔馬は驚きと同時に呆れていた。どうして室内で使用する兵器に自爆装置等を組み込むのだろうか、と。
「とにかく脱出だ。あれ、出口なんだろ?」
朔馬はドアを指差す遊馬の言葉に頷き、気絶したちづるを担ぎ直す。
「だったら、とっとと行くぞ。俺は死んだら綺麗な墓石の下で眠りたいんだよ」
こんな時まで軽口を叩く遊馬に少しだけうんざりしながら、朔馬は上官の後に続いた。
「隊長、ちづる持ってて下さい」
ちづるが起きていたら、この言葉を聞いてどんな顔をするだろうか。
「持ってて、ってオイ、朔馬!」
強引に制服姿のままの少女を押し付けられた遊馬が反論するが、朔馬はまるで聞いてはいない。
地下室の非常口は、下水道の通気口に繋がっていた。そこを通り抜け、マンホールを叩き斬ると、埠頭から少し離れたの広場に繋がっていた。周囲は既に慌ただしくなっており、かえってその広場は人気が無い。
──もっとも、今はもう既に丑三つ時を回っていたため、あまり関係は無いが。
ちづるを無理矢理押し付けた朔馬は、右手で刀を握り、眼前の赤髪の男に向き直った。その後ろにはいつのまに脱出したのか、少し汚れた津宮の姿があった。
「さぁて、決着、つけるか」
朔馬が抜刀すると、同じように六峰も銀色の刀身を黒塗りの鞘から引き抜く。
先に動いたのはどちらだったか。

──ぎぃんっ!

互いに地面を蹴り、それまであった距離のちょうど半分ほどの位置で二人の刃が交差する。
「フン‥‥《月下紫苑》、か」
互いの呼吸を感じとれる距離で、呟くように六峰が言う。

SNSでこの小説を紹介

アクションの他のリレー小説

こちらから小説を探す